煉獄家の女中が鬼殺隊に入らない理由【煉獄杏寿郎】

29 ー炭治郎sideー ページ32

ー炭治郎sideー




不満そうな宇髄を気に留めることなく

Aは柔らかい芝生の上でうんっと伸びをする。




A「でも鬼殺隊には興味ないの。

　 鬼の頸を切ることにも、

　 あまり興味ないの」




炭「じゃあどうして…」





思わず口から出た言葉に、


興味など一切ないような顔で

彼女は俺のことを見るのだった。





きっと先程からの彼女の言葉や行動には、

一つも嘘偽りがない。



心のままに動いている匂いばかりが彼女からする。




先程から宇髄や俺に対する態度を伺えば、

確かにそこに彼女の興味はなかった。




不思議である。



何故なら彼女からは

確固たる責任感と正義感を感じるからだ。




宇「聞き飽きたって。

　 その台詞」




終着点のない会話に嫌気がさしたのか、

遠い空を仰ぐ彼女。





俺はまだ見惚れていた。







ーそこで気づくことがあった。





先程から彼女からうっすらと、


まるで風に舞う羽のようにやんわりと

俺の鼻をついてくる匂いがある。





微弱だが、確かに存在する。





それは…



杏「A」





太く、でもしっかりと通る、


そんな一度聞くと忘れられない声に

俺は反射的に振り向いた。

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