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「ちょ…ちょっとまって!」







私が立ち止まると、腕を離してゆっくり私の方へと振り向く。


その北山くんの表情からは感情が何にも読み取れない。







「…」




「…なんで北山くんがいるの?」





震えてしまいそうな声を必死に隠してそう言うと、まっすぐな瞳で私をじっと見つめたまま少しの沈黙が私たちを包む。









「…Aとちゃんと話したかったから」





「えっ…?」





「こうでもしないと逃げるだろ?」






柔らかく微笑むと、自分の服をギュッと握りしめていた私の左手を右手で包み持ち上げて親指で私の手の甲を優しく撫でる。



“なぁ、”っと私の手を見つめていた目線を上げて、また私のことを見る。






「…なんで俺のこと避けんの?」







眉毛を下げる切なそうな顔で見つめられたら、隠していたことをポロっと言ってしまいそうになる。

ギュッと下唇を噛むと、それに気づいた北山くんがポツリと呟いた。







「…言えない?」





「ごめんっ…」





“そっか、”て小さく呟いて私から視線を逸らし俯く彼の姿に、胸がギュッと締め付けられる。




こんなことが何回もないように



今しっかり伝えなきゃ…。




「ねえ、北山くん…」




「ん?」




「…もう北山くんとはいられない」




「……え?」




「今までみたいにはいられない…」





私の言葉に、確かに私の左手を包む力が強くなって

それに比例するかのように私の胸の締め付けも強くなるから、北山くんの手に右手を重ねてソッと離した。




「…なぁ、ちゃん…



北山くんが何かを言いかけた途端に後から出発した2人組が私たち2人を不思議そうに見めてコソコソ話しながら追い越していく。






「…そろそろ行こう」





北山くんに背を向けて、2人についていくように歩き出す






このままいたら私のこの心が壊れてしまいそうだから。

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ぽん(プロフ) - りえさん» まだ44話以降を公開していないです…!ごめんなさい(;_;) (2019年2月10日 8時) (レス) id: 9bf54bbd8d (このIDを非表示/違反報告)
りえ(プロフ) - 44話以降通知が来ても更新されていないのですが私だけでしょうか(>_<)? (2019年2月10日 7時) (レス) id: 38bd84ff18 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽん | 作成日時:2019年1月8日 0時

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