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「だぁーつかれた!」
休憩時間になった途端に隣に座っている北山くんが勢いよく机に突っ伏した。
長机に北山くん、私、玉森くん、はる の順番で座っていて、玉森くんとはるの間にはのほほーんとした空気が流れていてとても話には入れない。
せっかくの休憩時間だから私も誰かと話したいのにな〜と隣を見ても机に伏せたままだし。
「ねえ、北山くん」
「ん?」
気だるそうに机に伏せたまま顔だけをこっちへ向ける。
「なんか面白い話しして」
「いきなり無理だろ」
「お願い」
「むり、寝る」
そう言ってまた寝はじめてしまう。
仕方なくリフレッシュするためにトイレへ行こうと立ち上がると、プイッと顔を上げた。
「どこいくの?」
「トイレ」
「ついてこっか?」
「大丈夫です!」
ニヤッと笑う彼に、いーって睨みをきかせてトイレへ向かった。
・
・
『ねえ、知ってる? 山下Aって子』
1番奥の個室に入った私は、用を済ませて出ようとした時に聞こえてきた言葉に、鍵に手をかけていたのを引っ込めた。
『あー、北山くんにつきまとってる子でしょ?』
『そうそう』
私、つきまとってるって思われてたんだ
『今日もお揃いのリュックなんか背負っちゃってさ、ずっと隣キープしてんだよ?』
『私もそれ見た〜!』
『私さ、前まで結構北山くんと帰ってたりしてたんだけど、最近はずっと山下さんが陣取ってて全く帰れてないんだよね〜』
『なにそれ、最悪じゃん』
『中谷神社のお祭りにも一緒だったらしくてさ〜。
北山くんも可哀想だよね?
本当は桜子とかと居たいんじゃないのかな〜』
桜子ちゃん、
お祭りの時に話しかけてきたあの可愛い女の子。
『迷惑だよね、北山くんもきっと』
『間違えないね〜』
どんどんと遠ざかっていく声に、誰もいなくなった今でも外に出ることが出来ずにしゃがみ込んだ。
たしかにあの子達の言う通りかもしれない。
北山くんだって本当は、他の子と帰ったり、遊んだりしていたいはず。
“寂しい時はいつでも帰ってやっからな”
“しょうがねぇな〜”
私が寂しそうにしてるから、北山くんはそれを気遣っていてくれていただけ。
思い返せばほら、眉を下げた北山くんの顔ばかりが思い浮かんでくる
あぁ、私、気を遣わせちゃってたんだな。
そっか、
私、邪魔者なんだ。
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ぽん(プロフ) - りえさん» まだ44話以降を公開していないです…!ごめんなさい(;_;) (2019年2月10日 8時) (レス) id: 9bf54bbd8d (このIDを非表示/違反報告)
りえ(プロフ) - 44話以降通知が来ても更新されていないのですが私だけでしょうか(>_<)? (2019年2月10日 7時) (レス) id: 38bd84ff18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽん | 作成日時:2019年1月8日 0時