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「あ、そういや今日暇?って、塾とかあるのか……」

と申し訳なさそうに眉を八の字に曲げて言う。流石に付き合い悪いのも、私自身も嫌だから。お兄ちゃんに連絡したら承諾してくれるかな。



「ううん、今日は多分大丈夫だよ。」

「マジ?!やったぁ〜じゃあ遊びに行こ〜!!」

「うん。」







トイレ行くねと席を外す。確かこの時間は多分休憩だったよね。








携帯には兄の電話番号。電話帳には"お兄ちゃん"の文字と女友達の極小数だけ。
異性と電話番号を交換した時が1度だけあったんだけど、その時は兄が混乱して、私に何度も暴力を振るったからもうしないようにしている。


ココ君と電話もしたいのにそれが叶わないなんて酷な話だよね……




プルルルルル……

電話のコール音が耳元で小刻みになっては止まり鳴っては止まり………………

プツと、兄に通じた音が鳴った。ワンコールで出た。




「あの、お兄ちゃん?ちょっといい?」

〔A?休憩中にかけてくれるなんて珍しいね。お兄ちゃん嬉しいなぁ〜〕


「うん、その、お話があって。今日帰るの遅くなるかも。」

〔……なんで?〕


少しだけ声のトーンが落ちた。


「その、友達と最近遊べてないから、遊びたいなぁ〜って…………ダメかな。?」

〔誰?その友達って〕

「のんちゃんって言う女の子だよ。」

そう言うとしばらく黙り込んだ。異性じゃないから大丈夫だと思ったんだけどなぁ……。


〔……はぁ。分かった。今日だけだぞ?その代わり、7時半までには帰っておいで。〕


「う、うん!!」



よかった。よかったよかった!!友達とお出かけなんて久しぶりだぁ!!よかった…………


て、普通なら、いつだって出来るのか。こんな事で喜ぶ体になってしまったと思うと笑っちゃうなぁ。
つくづくマイナス思考でしか考えられないもんだな。









その日はいつもより放課後までが長く感じた。

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作者名:麦の丸。 | 作成日時:2021年8月25日 23時

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