讃美歌 ページ21
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『 拝啓、もうそこに居ないかみさまへ。
貴方はもう其処にいらっしゃらないのでしょう、だから私は筆をとりました。この気持ちは矛盾しているのでしょうか？
当然、貴方が居なくなるのを私は待ち望んでいました。週刊誌よりも今日届く荷物よりもずっと。
定められた運命は私を嘲笑うかの様にくるりくるりと回っています。だからでしょうか、貴方が私の前に現れた時、畏怖から何も声が出なかったのです。もう既に喉は干からびてしまいました。辛うじて動かせるのは手だけです。
貴方は、この世の不幸を全て背負いこんだ様な顔をしていましたね。実際そうなのでしょうけれど、私の前でそんな顔する必要ありましたか。
望んで良いのなら、もっと時間が欲しかった。不幸すぎやしませんか。ねぇ神様、貴方は何の為に、
私と彼の人を巡り合わせたのです。
夢の中で私は、あなたに逢いました。あなたは彼の顔で出てくるから、怒りたくても怒れなかった。だから、彼の顔でそんな悲しそうな表情を作らないでって、叫びたくても叫べなかった。今度はあなたの素顔を見せてください。
今から見る夢でも、あなたに会うのでしょうか。嫌だなあ、彼に会えるのは嬉しいけれど、あなたに会うのが嫌です。だってたくさんのしあわせをくれたのは、あなたじゃなくて彼なのですから。
彼の全てを愛しました。アイドルとかモデルとしてじゃなくて、純粋に彼の全部を。だからね、もう少しだけ時間をください。
健康な命をください。幸せな時間をください。彼と一緒に過ごせる時間を引き延ばしてください。
幼い頃から私の幸せを奪ってきたのですから、ストックはあるはずでしょう？お願いです、Amen。
何故私は運命から逃げなくてはいけないのでしょうか。答えは簡単ですね、病弱な精神と“ 私 ”を引き剥がして分離させるためです。あなたに尋ねなくても答えが出ちゃいました。
自分で創りだせということでしょうか。それならば、最後に絶対に叶えて欲しいお願いをします。
誕生日に、起こしてください。
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作者名：ねむい | 作者ホームページ：
作成日時：2018年4月25日 5時
