タイムリーパラドックス ページ3
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「 おはよ、A 」
「 …あー、おはよ 」
「 どうした?元気ないじゃん 」
「 いや?元気もりもりだよ 」
自分でも顔が引きつっているのだろう、とわかってしまうほどに無理して笑った。元気、元気100パーセント と自分に言い聞かせるように再度クラスメイトに向かって笑みを作る。
虐められているわけでも、ないけれど。普通の高校生活を送ることができているし、友達だってそれなりにいる。でも、右手首の傷とか、両親のことを話せる人なんて存在しない。幼い頃話した友人たちも、「大変だね」と笑い飛ばした。現実的に受け止めてくれる人がいたなら、いつか話せたらいいな。一人で負った肩の荷を降ろしてしまいたい。
「 それは甘えだ! 」
バン と教卓を叩く担任に肩を跳ねさせた。考えていることがあまりにもタイムリーで少し笑いたくなる。本気で怒った様子の教師の前で緩くは笑えないけれど。
どうやらクラスメイトの一人が課題を忘れまくって…あまりにも下らなかったから話を聞くのをやめようと思う。
席から外を眺めると、少しだけ遠い海が見える。窓際の席でよかった、あの青が見えるから。手を伸ばすとガラスの壁に当たってしまった。そうだ、窓で景色が遮られている そんなことを忘れていた。今すぐ、あの海に行ってみたい。そんなことしか考えていなかったのだ。
「 せんせー 」
「 …ん?おう、なんだ 」
クラスメイトが気怠そうにうつぶせながら教師の名前を呼ぶ。
「 Aが朝から調子悪そうなんですけど 」
「 ……え? 」
「 大丈夫か、保健室行くか? 」
「 いや、大丈夫ですって 」
なんという見当違い。ただ海を見ていただけで調子が悪そうとは、私だってノスタルジック的な気持ちになることもある、失礼な。
「 いや〜心配だなぁ…保健室行ってこい! 」
「 え、だから大丈夫です 」
それはこの空間を抜け出す口実に、なったりもする。でも、出席日数も成績もギリギリだからそんなこと言ってられない、早退なんて、する訳には。
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ねむい(プロフ) - ONEさん» ひいいいそこまで言っていただけるとは本当に嬉しい限りです、、恐縮極まりないです…(?)この後も、どうぞよろしくお願い致します…! (2018年1月9日 22時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
ONE - グッスン、グッスン(泣いてる、、) だぁぁぁぁ感動したぁぁぁぁ。何!?この悲しく切ないラブストーリーは!?。泣き過ぎて鼻水がでるぅぅぅ \( ^ ○ ^ )/オワタ。 (2018年1月9日 14時) (レス) id: c55778ed91 (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - 鶴永ルアさん» とても嬉しいコメントありがとうございます。頑張らせていただきます。よろしければこの後も、宜しくお願い致します! (2017年12月31日 14時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
鶴永ルア(プロフ) - 凄く感動しましたー!続きを早く読みたいです!!応援してます、更新頑張ってください(*´`) (2017年12月31日 14時) (レス) id: 51a0d5722b (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - 理音さん» ありがとうございます。細かい台詞まで、そして綺麗と言っていただき本当に嬉しいです。色々伏線立てまくってるのでよろしければこの後もよろしくお願い致します! (2017年12月30日 12時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねむい | 作者ホームページ:
作成日時:2017年12月27日 21時