アルフェラッツの傾慕【瀬名 泉】

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「 ああ美しい！なんと美しいのだ！創作意欲が湧き出てくる…！ 」



「 はぁ！？もうほんと、なんなのぉ！？ 」



と、思っていた、のに。



目の前に仁王立ちしている黒髪ストレートのチビの名前は、七瀬A。キラキラとした目で“ 美しい ”を連呼してスケッチブックに何かを書き留めている。



「 おおお！お前を見るとインスピレーションが湧き上がってくるぞ！！セナ、紙とペン！ 」



「 奇遇だな、私もだ！はははは、いいぞいいぞ！セナというのか、君は！ 」



共鳴 のようなものだろうか。目の前で繰り広げられる天才同士の会話についていけるわけがない。苛立って瀬名泉 と名乗ると、七瀬は顔を上げて「 そうか、瀬名泉よろしくな！ 」と笑う。



彼女の笑顔は綺麗で、美術館でよく見る芸術作品のようだ。黄金比 とでも言うのかもしれない。しかし“ 天才 ”と呼ばれる彼女は王様と二人で地面に寝転がり何かを書き綴っている。あまりにも幼稚に見えて少しだけ笑みが漏れたのは否定しない。




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「 ふぅ、…と、こんなところか？ 」



彼女がやっと顔を上げたのは王様のインスピレーションとやらも治まった頃だった。
見てくれ瀬名泉 と突き出されたスケッチブックを見ればその世界に引き込まれる。
繊細なタッチの 俺の絵。



「 ふーん、あんたなかなかやるじゃん 」


「 ははは、そうだろう！？もっと言ってくれても構わないぞ！ 」



ちょーうざぁい と皮肉を言っても彼女はにこにこと笑っている。なんというか、窓から見ていた時もそうだったけれど 調子が狂うのだ 。




「 と、いうわけで、明日の放課後からデッサンモデルを頼みたいのだが 」



「 はぁ！？ 」



あまりに急な誘いに思わず声を上げた。ふらふらと歩いていた王様も振り向く。



「 だ、だめ…？ 」


「 っあぁー、もう！急に女の子みたいになるのやめてよねぇ！ 」


「 私は女の子だ！ 」



だめ と聞く彼女は正直言って可愛かった。思わず声を荒げれば彼女は顔を赤くして応戦する。その時思ったこと “ 苛める相手が出来た ”


いつの間にこんなこと思うようになったのかはわからないけど。少しだけ口角を上げてニヤリという笑みを漏らせば“ 承諾 ”の意ととったのか彼女は顔を綻ばせて跳ね回る。



「 俺をモデルにするならさぁ 」



いつの間にか彼女と距離が近くなっていたようで
彼女の綺麗な黒髪を掬って口を付ければ 表情を変える。




「 覚悟しなよねぇ 」



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