夜半／６ ページ49
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「 は？ 」
「 もう一度云うか？ 」
ヨコハマに、落とす。この白鯨を。
＿＿ヨコハマが、壊滅する？
「 …おじさま、本気？ 」
「 ？…俺の言葉に二言はないが？ 」
「 私それ、嫌 」
どうやら
「
「 君ならそれくらい予測できていただろう？ 」
「 どうせなら撃ち抜いて殺してくれよ、私は貴方に自分を売ったんだし 」
膝をついて遥か上の顔を睨みつけると、不敵な笑みを続けておじさまは私の頭を撫でた。故意に体を動かされると傷が痛い。
「 ＿＿＿＿ねえ、おじさま。私と取引をしよう 」
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『 ヨコハマに白鯨を落とさないで。……その代わり、私はおじさまの望むもの、何にでもなってみせるから 』
「 ……か。中々面白い 」
「 私、もう何も失いたくない。ヨコハマには私の生きた証がある。それから、家族もいる。…昔、ヨコハマで死んだ友だちもいる。私は、私たちが今歩いているヨコハマを、あの人が歩いてきた、愛していたヨコハマを失くしたくない 」
瞳の奥が熱くなる。撃たれたことでどくどくと脈打つ血液が、ぼたぼたと垂れて赤溜りを作る。
「 ヨコハマがなくなるっていうのは、皆が生きていたとしても私にとって死んだのと同じこと。だから中也を、太宰を、ポートマフィアの皆を……織田作が生きていた証を、亡くさないでください 」
泣く、なんて行為は相手に余裕を与えかねない。だからそれは弱者が為すこと。零れそうな其れを堪えると、唇の端からもっと鉄の味が滲む。
「 もう私は充分逃げたから、充分助けて貰ったから。私の大切なひとをもうひとりだって失いたくない。……だからおじさま。その代わりに私が全部背負うよ 」
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床が冷たい。止血が出来ていないから、血溜まりがどんどん広がっていくのが視界に入る。
でも、少しでも眠ってしまったらそのまま起きられない気がする。
「 ……っうぇ 」
戻された牢のカメラが唸るような音を立てる。何とか此処から出ておじさまの持つ制御端末を奪わなければいけない。
それにしては一寸、出血しすぎた。意識が朦朧とする。
『 自己犠牲は善い人がするものでは無いよ、譬えばAが自己犠牲として敵に身を差し出した時、一番悲しむのは誰だと思う？ 』
『 ……わたし 』
『 残念。……中也か私のどちらか。若しくは両方。 』
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ねむい(プロフ) - イチゴプリンさん» いつもありがとうございます、本当に励みになります、、！これからも何卒宜しくお願い申し上げます！ (2018年4月2日 12時) (
レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
イチゴプリン(プロフ) - ねむいさんの作る作品はとっても面白くて大好きです！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2018年4月1日 13時) (レス) id: 645f74247e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねむい | 作者ホームページ：
作成日時：2018年3月27日 16時
