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わたしより先に死ぬのなら逢わないで/2 ページ33





「 おい手前ェ 」

「 っい!?痛いってば離して! 」

「 手前知ってたな?太宰が態と捕まったことも 」


先程の太宰の様子から見て、此奴は確実に知っていたのだろう。部屋でのほほんとしていた阿呆をソファの上に組み敷いて両手首を纏めて締め上げる。


「 ま、待って落ち着いてよ!この体制はちょっと危ないッて… 」

「 あァん?西方の小競り合いを鎮静してきた帰りに太宰は捕まってやがるしあの態度、手前は呑気にサボりったァ、面白れぇことしてくれんじゃねェの? 」

「 ちゅ…う…… 」


苛立ちにまかせてきつく締め上げすぎたと表情を確認する。目尻に浮かんだ涙と食いしばった歯、紅潮した白い頬。
_____おい手前、昔から俺がその顔に弱いの知ッてんだろ。


「 ちゅうや……い、た……… 」

「 ………ッ、 」


振り切るように手を離して、Aの顔の横に勢いよくつく。「わぁ」なんて、確信犯は先程のことがまるでなかったかのように笑顔を見せた。手首なんて何も痛くなかったんだな、この莫迦。


「 なぁに中也、まだ何か言いたいことでも? 」

「 っ……… 」

「 あぁ!太宰におちょくられて恥ずかしかったんだね!私が慰めてあげよう、よぉしよし 」


そう言うとAは俺の頭から帽子を外し、両手で抱え込んで撫で始めた。指先が冷たくて、片方の手を取って指を絡める。


「 わぁ、指なんか絡めてきちゃって、中也もまだ子供だねえ、幹部だからって一人で抱え込まなくてもいいんだからね 」

「 __________じゃねェよ 」


________手前も、ここまでは予想できなかっただろ?


「 子供じゃねェよ、A 」

「 え? 」


頭の上にあった手を絡め取って、ソファに沈める。案の定目の前のAの顔に焦りが滲んだ。

それさえも演技だとしたら、俺はもう手前の感情の何処までが本気なのか分からねェ。


「 ちょ、ちょっと中也、やめて! 」

「 何がだよ 」

「 だって私たち唯の上司と部下でしょ!せ、接吻…とか、それ以上とか…… 」

「 __________接吻ン? 」


拙い、という風にAの顔が歪む。


「 上司と部下以前に、男と女だってこと忘れてンだろ?……太宰と手前にしたって 」

「 だ、太宰ぃ? 」

「 太宰も俺も、男だからな。だのに手前は最近ちょこまかと“デェト”とか云ってあの青鯖と出掛けやがって 」

「 中也 」

「 __________接吻どころで済むと思うなよ 」


にやりと口角を上げると、ソファに沈む此奴は危機を察知して目を閉じる。嗚呼_____


「 全く、中也も昼間からご盛んなことで 」


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ねむい(プロフ) - イチゴプリンさん» いつもありがとうございます、本当に励みになります、、!これからも何卒宜しくお願い申し上げます! (2018年4月2日 12時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
イチゴプリン(プロフ) - ねむいさんの作る作品はとっても面白くて大好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年4月1日 13時) (レス) id: 645f74247e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねむい | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年3月27日 16時

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