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鳴かぬなら 殺してしまえ/6 ページ18





「 太宰、少し話をしようか 」

答えは返ってくるわけない。彼奴がリアルタイムで聞いていなければただの独り言だ。今度会った時にゆっくりと珈琲なんか飲みながら話してみたいものだが、そんなことをしたら私は組織を追われてしまうし、第一先程嬲り殺すという宣言をしたばかりではないか。もし、もしもの話だが、もっと平穏な機会が訪れるのならば“ あの店 ”でもう一度語らってみたいものだ。


「 太宰はさ…それに中也と私、勿論芥川も 」


中也に見つかったら怒られるかもしれないが、彼の部屋の扉を閉め、内側から鍵をかけた。訳あって自分の部屋を爆破してしまったので中也の部屋を一緒に使っている。が、高級なものが多過ぎてこの部屋も爆破したいとうずうずしてしまっている。“ ふくざわどの ”何人分の首が飛ぶのだろうか!


「 殺してしまえ、型だよね 」


鳴かぬなら、殺してしまえ時鳥。首領も、姐さんも、Qも、夜叉白雪の子も、広津さんもそうである。マフィアになる人の共通点だ。


「 でもさぁ、太宰は変わったんだ。“ 鳴かせてみせよう ”派に。 」


高級な革素材のソファに腰を下ろすとぎし、と軋んだ。爆破してしまいたいな、梶井さんの爆弾か何か盗んでこようかなあ。


「 きっと探偵社は皆、“ 鳴かせてみせよう ”型なんだ。横暴じゃなくて、効率的で優しくて、正義感がある。 」


____その正義感が憎い。理由は定かではない。然しな、何処か偽善的なのだよ。



「____ねえ、どうやって変わったの 」



どうやって。どうして。どうして太宰は探偵社に?彼奴まで偽善の塊になったというのか?そんな存在に成り下がる可能性のある人間は初対面で判る。もし太宰がそうなら、とうに縁を切っている筈だ。

まだマフィアに思い入れがあるからだろう、其れならば何故戻ってこない?マフィアに命を狙われてまで遂げたい事があるというのか?


何故、私を置いて出て行った。





「 人虎…敦君を社員にしたんでしょう? 」

その正義感が、憎いと云うのだ。
私の中の太宰は、昔の真っ黒な太宰から一歩も進んでいない。後退してすらいない。

____久しぶりに見た太宰は、白くなっていた。
その黒さが心地よかったというのに、平気で人を蹴落として、笑顔で私に話しかける貴方に憧れていたというのに。

疑わしい、その白さが。目を凝らして見ても黒い部分なんて一つも見えず、切断手術をしたのではないかと非現実的なことを考えた。



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ねむい(プロフ) - イチゴプリンさん» いつもありがとうございます、本当に励みになります、、!これからも何卒宜しくお願い申し上げます! (2018年4月2日 12時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
イチゴプリン(プロフ) - ねむいさんの作る作品はとっても面白くて大好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年4月1日 13時) (レス) id: 645f74247e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねむい | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年3月27日 16時

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