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鳴かぬなら 殺してしまえ/4 ページ16





「 嗚呼行くとも…お前の為ならば命も惜しくない 」

愛されてるなぁ、と勝手に思う。現に奥さんは生きているし、死んでも彼方に奥さんはいないのだが。

『 貴方、最期に一つだけ教えて頂戴? 』

「 何だ…? 」



『 貴方が所属していた組織の拠点は、何処にあるの?

私心配だったの、貴方が夜な夜な何処かに出て行くのを見て。貴方が帰ってこなくなった夜、私は貴方の後をこっそりと付けていたわ。まあその途中で、貴方が滅ぼそうとした憎きマフィアに銃で撃たれてしまったのだけど。 』

「 ま、真逆……そっ、そんな訳… 」

『 いえ、本当よ 』

…嘘だけど。この嘘もうちの組織を滅ぼそうとしたのだから対価である。




「 ____ヨコハマの、〇〇ビルだ 」


『 そう……そうなのね、解ったわ…もうそろそろ時間見たい。じゃあ彼方で…… 』

「 …待って!待ってくれ! 」


死の淵に立って、未だ何かを望むというのか、此の男は。つくづく吃驚だ。



「 ___最期に接吻を 」



…嗚呼、前にもこんなこと。其れはまだ3人が揃っていた時代であった。


『 愛する貴方の為だもの、一寸待ってね。 』


ポケットを探ると指先に何か硬いものが触れた。予め用意しておいて良かった、これこそ備えあれば憂いなし。

其れを厚く、厚く唇に塗った。___常人なら恐らく卒倒だ。

其の男に顔を近づけた。背後を少しだけ見遣れば部下は気まずそうに顔を背ける。まあ仕方が無い、この異能を持って生まれてしまった上司の下についたのだから、何度か辿る道だ。



『 愛してるわ、_____ごめんなさい 』



そんなの 許されるはず無い。







ぐったりとした男を茫然と見つめた。もう既に彼方へと旅立ったのだろう。奥様は健在だ、心配はするな。だからどうか、怨むのは 私 だけにしてくれ。

「 ……あぁ、先に帰っててよ 」

「 ですが死体の後始末が… 」

「 私がやるからいい、だから疾く 」

後半は叫ぶような口調で急かした為に部下は足早に去っていった。それでいいんだ、それで。


誰の足音も聞こえなくなった途端、力が抜けたかのように座り込む。


「 _____ゲホッ 」



___掌に乗ったのは赤溜まりだ。慌ててポケットの中にあった白い布で口紅を拭う。









「 もしもしひゅーは(ちゅうや)? 」

「 あァ?……Aか、どうした 」

ひごほ、おわっはよ(しごと、おわったよ)

「 おい、今何してるッ!? 」



「 …ぺっ……………歯磨き 」




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ねむい(プロフ) - イチゴプリンさん» いつもありがとうございます、本当に励みになります、、!これからも何卒宜しくお願い申し上げます! (2018年4月2日 12時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
イチゴプリン(プロフ) - ねむいさんの作る作品はとっても面白くて大好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年4月1日 13時) (レス) id: 645f74247e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねむい | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年3月27日 16時

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