風雲、夜闇に紛れる/5 ページ12
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____「 おい、起きろ。いつまでも寝てんじゃねぇよ 」
瞳を見開けば頭上に足が…いや待て待て、顔が怖いよ
「 ああ中也かぁ。てっきり天からお迎えが来たのかと 」
「 手前が天国に行けるわけねぇだろ 」
「 くっ…言うねぇ…… 」
ゴロンと寝返りをうつと隣に中也が腰を下ろした。ピクニックかなこれ?幸せな家族のピクニック気分かな?いいねぇ、そんなことがあったのなら。まぁここは月しか光源がない倉庫であるが。
「 上司に仕事を丸投げして太宰のぽんつくと逢引たァ、いい度胸してんじゃねえか!あァん? 」
「 中也嫉妬かなあ、可愛いね 」
「 うるせえ!んなこたァある訳ねぇだろ! 」
「 ……ねぇ中也 」
「 手前ッ、人の話聞いて…… 」
「 例えば天井に張り付いたり、異能を無効化したり、虎になったりさあ。楽しそうだな、って思う。 」
あの一瞬、異能を使うのが怖くなった。だから怖がるな、って唱えた。それで、使いこなせない方の異能を使った。太宰が居なかったらきっとあのまま意識が飛んでいただろう。
「 … 」
「 Qみたいにこんな異能なんていらなかった、って思うときもある、けど 」
1番思うのは
「 如何して良い事に使えなかったのか 」
____素敵な異能だね、と最初に云ったのは太宰であった。
そう、確かに素敵な異能だ。“ もう一度、もうこの世にはいない愛する人に会いたい ”。そんな願いを叶えてあげる事だって出来る。
けれど、それはしてはいけない事だ。時にこの異能は人を苦しませる。だからポート・マフィアに入ったのかもしれないが。
____その異能は、Aに合ってねえ。そう云ったのは中也だ。
「 確かにねぇ、私はこの異能は使いこなせないよ。何で精神操作なんだろう、って思う。 」
「 だから、手前に合ってねえんだよ、A 」
中也の大きい掌が私の目元を覆った。“ 泣いて良い ”の合図だ。…然しそれは弱者がする事だろう?私はそんなことしたりしない、昔みたいに。
餓鬼だって、確かにそうだ。
此奴の言葉は中たっているし、幼い頃の躾なんて無かったのだから其れは当たり前のことだとさえ思ってしまう。
“ 相手の愛した人に成り替わる ”だなんて、大人の異能過ぎるのだ。餓鬼には合わない。
つまりは。
_____自分の異能が、心底嫌だった。
「 中也、私も壁に張り付きたいな 」
「 手前は俺が幾らでも貼り付けてやるよ 」
「 エッその漢字物騒 」
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ねむい(プロフ) - イチゴプリンさん» いつもありがとうございます、本当に励みになります、、!これからも何卒宜しくお願い申し上げます! (2018年4月2日 12時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
イチゴプリン(プロフ) - ねむいさんの作る作品はとっても面白くて大好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年4月1日 13時) (レス) id: 645f74247e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねむい | 作者ホームページ:
作成日時:2018年3月27日 16時