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Aに貰ったブレスレットの石の事を訊こう。そう思ったけど、やっぱりやめた。何より、もう今更訊く気にもなれないで。しかし、それの代わりの質問が『 次の衣装はどういう状態か 』だなんて随分つまらない質問をしてしまった。毎回丁寧に作るAの事だから問題は無いと思うのだけれど。
「 あっA、今日一緒に帰ろー！ 」
「 ごめんっ、おまたせ〜！ 」
「 大丈夫、全然待ってないよ 」
俺が声を上げたら、彼女は優しく返した。
「 じゃあ、帰ろ 」
「 うん 」
自分から帰ろうと誘ったのに、話題が見つからず、なんとなく空を見る。雲一つない満月で、綺麗だ。なんて思いながら、俺はAに貰ったブレスレットを付けていたことに気付く。そしてそれが満月に照らされるように腕をあげてみる。
「 あ、明星くんのそれ＿＿ 」
「 ああ。これ、お守り代わりに付けてるんだ。これがあるといい事起きそうだな〜って 」
そう言って、俺は笑ってみせる。彼女がどんな意図でこれをくれたのか分からないけれど、これは嘘偽りのない本心だ。
「 そう……。大事にしてくれてるみたいで、嬉しいな 」
そう言うAの表情は、まるで薄紅色の花が咲いたように美しかった。
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じゃあ俺はここで、と言い、明星くんは向こうを向く。その明星くんの背中が、何故か切なく感じる。
多分、私は明星くんが好きだ。いや、“ 多分 ” なんかじゃあない。私は明星くんが好き。そう言いきれる。言いきれてしまう。だからこそ、苦しく感じる。彼らもアイドルだから恋愛なんて以ての外だし、私がもし彼と愛し合う仲になってしまったら、学院の皆も裏切ってしまう。それが、どうしても怖くて、涙がこぼれそうになるが、私はそれを必死で堪える代わりに、きらきらと光る彼のような星を見た。
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作者名：ねむい | 作者ホームページ：
作成日時：2019年8月26日 19時
