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躓きかけて足の小指が痛くなった。
よろよろとした足取りでその神社への道を駆ける。
空は幾分か晴れ渡っていて、曇ってるとか雨が降ってるとかよりは良かった。何しろ雨にはいい思い出がないもので。きっとあの頃の雨は一生分の毒を降らせていたのだろう。
元職場からは遠いところにあるものだから、着くまでに靴擦れしてしまいそうだ。買ったばかりのスニーカーなんて履かなければ良かった。風が冷たくなってきて、初めて夏の暑さが懐かしくなるように、私は大人になって初めて君の存在の大きさを思い出した。もう懐かしいとしか言い表せないけれど、大人とか子供とかそんなの全く関係なく、ずっとずーっと君が大切だったんだろうな、ってことも、今更になってわかってきた。
大切なものを、手にぎゅっと掴んで、離さないように。一秒先も一年後も１００歳になっても来世だって、君の体温を忘れ去るということを繰り返さないように、結び切りにした。
この街は怖いくらいに、私に優しかった。生まれ育った場所は、いつだって私の味方だった。だから、居場所がないなんてあり得なかったのに、自分のいるところがないとか宣って世界を広げようとした大馬鹿者は、今もこの街の上を走っている。目の前が拓けてきて、そろそろだとか、そんな前に、
「 A 」
そこで信号待ちをしていたのは、やっぱり君だった。
純愛でも悲恋でもなんでもなかったけれど、たしかに君は君のまま、また私に出会ってくれた。そうして子供に戻った君は、今まで知らなかった顔で笑ってみせた。それがどうしようもなく、心地よかった。ないと思ってた自分が入り込める世界の隙間は、もうとっくに埋まってた。
「 ねえ、だいすき 」
「 知ってるよ、凛月、ずっと 」
だって、君は、あの頃から本当のことしか言ってなかった。嫌いだった私のことが大好きで、私も嫌いだった君のことが大好きだった。だから鏡を見てるみたいに正反対で全く同じ顔をして、暇を潰すように生きていた。
息を止めていなければ生きていけないような汚い世界で、私の光はあの頃のように君だけじゃなくなってしまったけれど。大人になって見えるものが多くなって、大切なものだってたくさんできた。だから、君だけをずっと好きで生きていけるわけじゃないと思うけれど、その大切なものを共有して息を吸いあっていけたら、それはそれで幸せに繋がるのかもしれないな、と ぼろぼろになった表情で思った。
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フラッペ - ねむいさん» りっちゃんはいいですよね（＾＾）独特な雰囲気というか無気力で可愛らしいというか……でもライブではきちんとする所、好きです。更新の方は細かく繊細に書かれているのがねむいさんの作品の良いところですので、自分の思うがままに書いていただければ幸いです……♪ (2018年8月22日 1時) (
レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - フラッペさん» ありがとうございます。フラッペさまからコメントをいただくたび、有難いという気持ちで胸がいっぱいになります。お気付きかとは思いますが、私も朔間凛月が一番の推しです。しかし推しほど書くのが難しい！精一杯尽くしていきたいと思いますのでよろしくお願いします！ (2018年8月20日 10時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
フラッペ - 新作おめでとうございます（＾＾）推しのりっちゃんなのでとても嬉しいです……!!もう一話目で「好き」と口からポロりと出てしまいました。ホントにこの作品の続きがむちゃくちゃ気になります。ねむいさんの事応援してます♪ (2018年8月18日 21時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねむい | 作者ホームページ：
作成日時：2018年8月15日 23時
