問う ｰ視点なしｰ ページ36
何ですかそれ…と呆れたが、伏黒は親身になって過去の五条についての記憶を掘り起こす。
女、女の気配。そんなもの、あの人にあったか？
普通に家に帰ってきて、普通に俺や津美紀の面倒を見てくれて…。
家にだって、一度も五条先生の恋人らしき人を入れたこともないし､そういった気配すら感じとれなかった。
目を閉じ、深くまで思い返すが、やはり心当たりはない。怪しい点も何もない。
伏黒はついに顔を上げて｢気のせいでは？｣と答えた。
｢気のせい…そうか。悪かったな、もう戻っていい。｣
｢もういいんですか？｣
｢ああ。急に呼び出しておいて、すまないな。｣
｢いえ、じゃあ俺戻ります。｣
伏黒は｢失礼します｣と言って、教室を出た。
完全に行く手を絶たれ、一人残された家入は、額に手を添えて俯きながらフーっと息を吐いた。頭の奥がジリジリと痛むのだ。
あんなに五条と一緒に過ごしていた時間が長い伏黒でも、嫁の存在を知らないと見て取れた。最初こそ疑いはしたが、とぼけている様子もない。
そして、｢あっ｣と思って伏黒が出て行った扉を見た。
口止めを完全に忘れていたのだ。
そして何もかも諦めて、マッいっか。と投げた。
｢五条先生って、恋人いるんですか？｣
伏黒は教室に戻れば、偶然そこには五条がいたので直球に爆弾をぶつけた。たった今持って帰ってきた手持ちの疑問。すなわち手榴弾である。
虎杖や釘崎は｢は？｣と口を揃えたまま固まり、五条も｢へ？｣と緊張感のない声を出して、伏黒を見た。
｢えっ、待って先生カノジョいんのっ？｣
｢何でもっと早くこんなオモシロ情報言わないのよ！｣
告白はどっちから、普段何て呼び合ってるの、どこに惚れたの、と双方から挟まれた五条は和やかに｢わーっ｣と笑う。そんな緊張感の微塵も感じられない姿に、伏黒は疑問に思った。
なぜ、家入は彼を呼び出してまで聞いてきたのか。
伏黒は密かに眉を顰めた。
｢実はね、いるよ。｣
五条は弾むように答えると、ヒューヒューと歓声が飛び交う。
｢婚約者だよ。｣と加えて答えれば、釘崎は｢式には呼びなさいよ｣と言った。五条の普段身につけているシャツの値段を分かっているため、さぞかし結婚式は豪華なのだろうと踏んで言った。虎杖は純粋に恩師を祝いたくて｢俺も！｣と答える。
｢いつからです？｣
｢えー、まあ昔から？｣
｢昔…。俺、全然気付きませんでした。｣
｢大人には一つや二つ隠し事はあるもんだよ。｣
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松野星月(プロフ) - コメ失礼します！わー、心に来る。続きがますます気になりました！楽しみに待ってます！ (5月4日 16時) (
レス) @page37 id: 7e5eb61c5c (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - コメント失礼します！すごく面白かったです！質問なのですが,この作品は完結でいいのですか？内容的に途中だと思うのですが…もし,続きを書く予定があるのなら続きみたいです！更新頑張ってください(^^) (2023年3月21日 14時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - 一般タコピーさん» 返信遅れてごめんなさい！コメントありがとうございますっっ！！身に余るお言葉ですがめっっっちゃくちゃ嬉しいです(/Д`;💕︎ 不定期になってしまいますが、更新頑張ります！- ̗̀( ˶^ᵕ'˶)b (2022年12月19日 13時) (レス) id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
一般タコピー - 神作品だ！作者様の文才が素晴らしくて一気に読んでしまいました！更新頑張ってください！ (2022年12月15日 18時) (レス) id: e79aa4edc0 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - あさん» 嬉しいです！！ありがとうございます！私も好きです！！！(唐突) (2022年12月13日 17時) (レス) @page36 id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のんのんた | 作成日時：2021年10月4日 4時
