右足 ページ24
ビクッと身体が跳ねて、目が覚めた。
薄目に見えたのは、陽の光が沁みるカーテン。
きっとまた悪い夢を見ていたのであろう、寝起きは相変わらず最悪で、動悸と相まって息苦しい。
忙しない呼吸を落ち着かせようと、深く息を吸い込んだ。
今日も、隣に悟さんの姿はない。
広々としたベッドの上で大きく伸びをして、そして一気に脱力した。
彼のいない家は、退屈でしょうがない。
眠たい目をこすって、ゆっくりとベッドから降りる。
「わっ！」
先に着いた右足へと、重心を掛けた瞬間、バランスを崩して絨毯の上に転がり落ちた。突然のことで受身をとる間もなく、全身を勢いよく打ち付ける。鈍い痛みに身をよじって、天井を見た。朝からの不運に心底呆れ、ふぅと息を吐く。それでも切り替えて、足を振り下ろす反動で身を起こそうとした。その時。
「あ、あれ…」
先程崩した右足に、違和感を覚えた。
両膝を揃えて上げたつもりが、左足しか持ち上がらず、右足はだらんと床に落ちてしまっている。
腕を着いて何とか身を起こす。
そっと手を当てれば、触られている感覚はある。
しかし、どれだけ力んでも、股関節から下に力が入らない。
冷ややかな汗が頬を伝う。
ベッドに手を着いて、ゆっくりと立ち上がった。
直立しようとしても、右足から空気が抜けたようにユルユルと崩れそうになるのだ。
なにこれ。
どうしよう、どうしよう。
全然力が入らない。
歩けない。立てない。
怖い、これ、これ、どうしよう。
「さ、悟さんっ、悟さん！」
バランスを崩しながらも壁を伝って、慌ただしくリビングへと向かった。もう不安で仕方なくなって、今にも涙が溢れだしそうだった。
テーブルの上にあったスマホを手に取って、慌ててトーク画面を開く。
仕事中だからとか、そんなの考えてられず、ただただ、自分の体が思うように動かないのが怖くて堪らなかった。ついには「音声通話」を選択しようした。
「ひっ！」
その時、室内に呼び出し音が鳴り響いた。
エントランスのではなく、玄関前のインターホンの音だ。
パニックな脳で、不審者では、と勘ぐった。
不審者と足の二重の恐怖に挟まれたが、相手に助けて貰えないかと思った。もう、目の前のものに手当り次第しがみつきたくなる。そんな藁にもすがる思いで玄関に向かった。
覗き穴から外の様子を見てみたが、そこには誰もいない。
僅かばかりドアを開ければ、インターホンに紙が貼られていた。
『中身を見たら、これは絶対に捨ててくれ。家入硝子』
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松野星月(プロフ) - コメ失礼します！わー、心に来る。続きがますます気になりました！楽しみに待ってます！ (5月4日 16時) (
レス) @page37 id: 7e5eb61c5c (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - コメント失礼します！すごく面白かったです！質問なのですが,この作品は完結でいいのですか？内容的に途中だと思うのですが…もし,続きを書く予定があるのなら続きみたいです！更新頑張ってください(^^) (2023年3月21日 14時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - 一般タコピーさん» 返信遅れてごめんなさい！コメントありがとうございますっっ！！身に余るお言葉ですがめっっっちゃくちゃ嬉しいです(/Д`;💕︎ 不定期になってしまいますが、更新頑張ります！- ̗̀( ˶^ᵕ'˶)b (2022年12月19日 13時) (レス) id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
一般タコピー - 神作品だ！作者様の文才が素晴らしくて一気に読んでしまいました！更新頑張ってください！ (2022年12月15日 18時) (レス) id: e79aa4edc0 (このIDを非表示/違反報告)
のんのんた(プロフ) - あさん» 嬉しいです！！ありがとうございます！私も好きです！！！(唐突) (2022年12月13日 17時) (レス) @page36 id: a4f760f5fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のんのんた | 作成日時：2021年10月4日 4時
