骨の髄までしゃぶる【五条悟】【ヤンデレ】

カプセル ページ17

そろそろ寝ようと思った頃、目の前のテーブルに置かれたカプセル式の薬と、グラスに入った水。


「風邪なら治りましたよ？」

「あー、コレね風邪薬じゃないよ」

「何のやつですか？」

「睡眠薬」

「……何でそんな」

「Aね、不眠症だったんだよ。毎晩これ飲んでてさ。」


不眠症。
昨夜は悟さんのお陰で、死んだように寝ていた身からしたら信じ難い話だ。
それに薬となると何が起きるか分からない。
正真正銘の睡眠薬なのか、そもそも私は本当に不眠症なのか。
聞きたいことは山々だった。
でも、変に疑って彼を怒らせるのが何よりも怖い。


「飲ませてあげようか？」

「だ、大丈夫です！」


彼の伸びた手を制止するように薬を取った。
カプセルを口元に近付けたが、特に臭いはない。
躊躇する私に、悟さんは「それ飲んでからベッド行こっか」と釘を刺す。
肌を焼くような視線。
監視されている。
勢いに任せて口に含んだ薬を、水で一気に流し込んだ。


「飲んだ？」

「…飲みましたよ」

「見せて」

「へっ」

「口開けて」


同じようにしろと言わんばかりに、悟さんは「あー」と口を開ける。
戸惑いつつも、私も同じようにした。
「舌の裏は？」と追求され、大人しく見せる。


「はーいオッケー。よく出来たねぇ。」


確認されればされるほど、先程のカプセルの正体が怖くなってくるが、平然を装うべきだと本能的に察した。
少しでも動揺すれば、相手がどんなアクションをするか分からない。からかって来るかもしれないし、怒るかもしれないし、優しくしてくれるかもしれない。
元々、何を考えているか読み取りにくい人でもあるのか。


「ね、一緒に寝ようよ」

「断っても入ってくるでしょう」

「まーねー」


寝室へ入り、ベッドに潜った。
未だにどこを向いて寝ていのか分からない。
悟さんと向き合うのも恥ずかしいし、背中を向けて寝るのも可哀想な気もするし、かと言って仰向けやうつ伏せも変な気がする…。


「もっとこっち来て」


その点、彼は非常に慣れていた。
何気ない誘導や言葉がスマートで、何かをし向くのに長けている。
いや、私が単純なのかな…。


「…暑いです」

「気のせいだよ」


筋肉質の人は代謝が良いから、身体が熱い。
お昼ご飯を食べていた時、適当に見ていたテレビでそんなことを言っていた。


悟さんの身体は温かい。
でも布団で覆われているから暑く感じる。


「これじゃ暑くて眠れないです…」

「大丈夫、もうすぐ効いてくるから」

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