7-21 ページ20
Noside
「まだ入れてくれないのか？」
『お前が家に入る瞬間を捉えたのは初めてだ』
「確かにいつもお前いないもんな」
『クロロが勝手に入るんだよ、俺が悪いみたいに言うな』
Aの、不貞腐れている顔をしているものの満更でもなさそうな楽しそうな顔に、クロロも入れろと騒ぐのをやめた。
生憎外は心地良い気温で滞在するのに苦痛ではない。
ふわりと風が吹いて、クロロの前髪を揺らす。
「気持ちが良いな……ってお前は俺を締め出したから分からないか」
『誰のせいだと』
「出てくれば良いのに」
『また不法侵入されるのはたまったもんじゃない』
「なんだそんな事か。その家に入るのは簡単だから締め出したくらいで不法侵入されないと思っているならお門違いだぞ？」
『犯罪をドヤ顔で言うな』
「誰を相手にしてると思ってるんだ」
愉快そうに微笑んだクロロは空を仰ぐ。
大きな月が辺りを照らしていて、とても美しいのでAは部屋の電気を消した。
電気なんて無くとも、美しい光はクロロやAだけでなく部屋の中まで明るく照らす。
「世界で俺達だけみたいだな」
『それは嫌だな』
「そうか、残念だ。」
『俺とお前とだけじゃなくてもっと沢山の人といたい』
「例えば？……ああ鎖野郎とかか？」
あの2人の子供とも仲良さそうだったもんな、とクロロは笑う。
それで思い出したようにAは顔を上げた。ああそういえばそうだった、クロロが自分に構う理由。クラピカに協力して旅団を捕らえようとした事。
自分まだ関与していなかったとはいえ、協力関係のあったクラピカは団員を1人殺している。
「……A？」
『もう俺に構わなくていい。』
「は？」
『お前も俺の恩人だ、あの場所から助けてくれた。殺して欲しい人を殺してくれた。お前が旅団を贔屓しろって言うならする。だからもう関わる必要は無くなった』
「………そうか、」
Aは顔を下げる。イルミの依頼を断った時も、何も言われなかったが同じ気持ちになった。
イルミには失望されてはいまいか、クロロとはこれから本当に会えなくなってしまうのか。
自分から言っておきながら、物凄く寂しいと思っている…なんて。
ああなんて寂しがり屋になってしまったのだろうか。Aになった時、自分を殺した時に独りで生きていく覚悟をした筈なのに。
彼らは仲間じゃない
自分は使う為に助けられたのだ。
頭では分かっている筈なのに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 203人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヴィンセント・ヴァンクール - とっても面白かったです！面白すぎて一気に読んでしまいました！！続き楽しみにお待ちしております╰(*´︶`*)╯♡ (11月17日 16時) (
レス) @page21 id: 0ffcd0578b (このIDを非表示/違反報告)
とらじ - 私の性癖にブッ刺さりまして…一気に読ませてもらいました！作者様のペースでいいので、続きをお待ちしております！ (2022年9月22日 20時) (レス) @page21 id: c8f94ad8bd (このIDを非表示/違反報告)
パンツ - じゅじゅき無くて泣きそうあああああああああああ (2022年7月17日 11時) (レス) @page21 id: 804c35253a (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン(プロフ) - 凄く面白いです！更新頑張ってください！ (2022年5月5日 6時) (レス) @page20 id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)
リト - 待っていました！思っていたより最高のお話で、良かったです！これからも応援してます♪ (2022年4月4日 22時) (レス) @page18 id: 2df230b8f3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：山菜 | 作成日時：2022年3月8日 5時
