居心地のいい場所とは (ページ8)

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二宮side

荷物を全て部屋に持ってきて置いたが予想通りスッカスカだ

ここに来るまで寝ていたし、荷物も多くなかったため疲れていないのでちょっと外に出てみることにした。ま、どこ歩いたって変わらなそうだけど

靴を履いて重々しい玄関を開ける
なんにもないが空気がとても澄んでいて暑いけど嫌な暑さじゃない
2、3歩前に出て大きく深呼吸をする
空気がおいしいってこういうことなんだなぁ…

テキトウに歩き出す
静かな村に虫の声だけが響く
嫌いだった蝉の声も音色のようで夏を感じる

「っ…！」

俺が歩く一本道の奥に胡座をかいて絵を描いている様子の男性がいた。
まさか人に遭遇すると思わなかったから少しびっくりした
人見知りな俺はこのまま進むか引き返すかで悩む

(よし、引き返そう)

と、振り向こうとしたとき男性が立ち上がった

(引き返せねぇ……)

そして不幸にも男性はスケッチブックを見つめながらこちらへ歩いてくる

てか、なに緊張してんだ。冷静に考えたら人とすれ違うだけだろ。あっちにいたときはこれの何倍もの人とすれ違っていたじゃないか

ここにしては珍しい若い男性に意味のない緊張をしていたことに気づき冷静を取り戻して前に進んだ