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「旦那さんきっと待ってます、
だからここからは一人で行ってあげてください。」
Aさんは驚いた表情を見せた。
口をあんぐりと開けて、そんな顔も可愛くて
また抱きしめたくなる衝動を抑える。
「缶ビール、ちゃんと持ちました？」
「蓮くん…。」
「ほら、そんな顔で会うつもりですか。」
今にも泣きだしそうな顔をするから
Aさんの両頬を摘まんで笑顔を作った。
その瞬間涙が一粒流れて、
つられて泣きそうになりながらも微笑んだ。
「ほら、待たせちゃ悪いですよ！」
背中を押すと俺の方を振り返る。
向かい合うように体制を変えると
今度は飛び切りの笑顔を作って見せた。
「俺、Aさんのこと忘れません！」
「…うんっ。」
「確かに、これから辛い思い出になるかもしれないけど
それでも、それ以上に、この数日間
すっげぇ楽しかったから！」
「私も、楽しかった。」
最後に見せてくれた笑顔は
屈託のない、とても幸せそうな表情で
改札を出て歩いていくその背中を見届けた後
我慢していた涙が溢れだした。
「言えねぇよな…っ。」
この数日間のモヤモヤが、
今まで感じたことのないこの感情が
恋だと今気づいてしまった。
今まで流されて付き合ってきたものとは違う
本当の、初恋だった。
「やっぱ辛いや。」
もう会えない、
俺が知らない場所でもうすぐいなくなってしまう。
そう考えただけで胸が苦しくてたまらないけど
記憶を消したいとは思わない。
「好きでした、さようなら。」
携帯で隠し撮りしていた、唯一のAさんの写真を
削除ボタンに伸ばした指を引っ込めて
お気に入りのマークに触れた。
不思議と引き付けられた寝台列車ツアーは
後にも先にも超えられない、夢のような思い出となった。
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ねこ - 思わず感動して大号泣してしまいました、こんな素敵な話に出会えてよかった。ありがとうございます。 (10月26日 18時) (
レス) @page35 id: 0201ad6d5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - 拝読しました。途中から“もしかしたら。。。”という思いがよぎり読み進めており、最後の方は涙が止まりませんでした。いろんなことを考えさせられました。とても素敵な作品です。 (2023年1月18日 16時) (レス) @page35 id: 362aab2dda (このIDを非表示/違反報告)
マシ(プロフ) - 大号泣しました。最高の作品でした。 (2021年7月3日 1時) (レス) id: 4e17f70d50 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 未さん» 読んでいただいてありがとうございました！そう言っていただけてすごく嬉しいです！ (2021年4月2日 20時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
未(プロフ) - 今更ながら作品読ませていただきました（ ; ; ）生きるという言葉の意味を綺麗な言葉ながらに深く込められていた心に刺さる作品でした！これからも愛読させていただきます！ (2021年3月15日 11時) (レス) id: dd8bdcffd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年1月27日 20時
