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「Aのおかげで毎日が楽しかっいた
辛い実習も乗り越えられたし
看護師っていう職業が大好きになった。」
「それは蓮…目黒さんの努力があったからで」
目黒さんと呼べば
顔を上げて私と目を合わせ
何か言いたげな瞳で再び涙をボロボロと流し始めた。
「同じ職場に就職して
最初の頃はよく仕事終わりに飲みに行って
愚痴だったり反省点だったり、他愛のない話して
大変だけど毎日が充実してて」
「…。」
「でもそれは俺だけだった。
気づいた時には、Aがボロボロになってて
もう壊せないぐらい分厚い壁ができてて
何とかしようと思ってる間に辞めちゃって」
「ごめん。」
「Aの優しさに胡坐をかいてたんだよ、
今の自分があるのは紛れもなくAのおかげなのに。
自分だけここにいていいのかなって、
俺も看護師を辞めようって何度も思った。」
みんな気持ちは同じだったんだ
泣き崩れてしゃがみ込んでしまった目黒さんに慌てて駆け寄ると
私の右手首を強く掴まれた。
驚いて握られている手首を見つめていると
顔をくしゃくしゃにして泣いている彼が顔を上げて
私としっかり目を合わせた。
「ずっと一緒だと思ってた、
二人で約束した未来がこの道の先にあると思ってた。」
「ごめん、私」
「Aが看護師として真面目に勤めてきたことも
誰よりも看護師に向いていることも
一番近くで見てきたから知ってる、だからこそ悔しくて
相談してくれなかったことが悲しくて
それがいつの間にか、理不尽な怒りに変わってた。」
私がもっと強ければ
あの時ちゃんと、辛いって打ち明けていれば
こんなにも泣かせてしまうことはなかったのに。
逃げて、嫌われたと思い込んで
繋がっているすべてを絶って
自分だけ新しい生活をスタートさせていた一方で
彼はこんなにも悩んで苦しんでいたんだ。
「忙しそうだけどイキイキと看護職を全うしてる姿を見て
とてもじゃないけど相談できなかった。」
「そんなの、勝手に決めないでよ。」
「目黒さんは優しいからきっと
自分そっちのけで手を差し伸べてくれるだろうって
同時進行は苦手でしょ、だからきっと
今の充実した生活を奪うことになると思った。」
私なりの気遣いのつもりだった。
でもそれは、目黒さんの言っている通りで
勝手に私が決めつけて出した結論で
ぶつけられたその正論に、また胸が痛んだ。
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読者A(プロフ) - いつも ぱくたろうさんのお話を読ませていただいていたのですが私事で久しく占ツクを開けていないうちに新作を作られて完結されていたので2日で一気読みさせて頂きましたが、、、安定にボロボロ泣きました…今回も素敵な作品をありがとうございました。 (2023年1月16日 14時) (
レス) @page39 id: c0ba04e557 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 青こなこさん» 最後までありがとうございました！お返事遅くなりすいません。共感していただけて嬉しいです！こちらこそありがとうございました🙇♀️ (2022年12月27日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
青こなこ(プロフ) - 完結おめでとうございます。ぱぐたろうさんの作品、いつも楽しく読ませて頂いています！私も医療系に携わっていることもあり、患者さんとの関わり方や葛藤など、共感するところが多かったです。素敵な作品をありがとうございました！ (2022年11月30日 22時) (レス) @page39 id: e1d2c6feb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年10月21日 19時
