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「スマートな人だね。」
「え？」
「渡辺先生、Aちゃんを連れて来てくれた。」
「普段はもっとこう…やめときます。」
公園に行くまでの道のりで渡辺先生の話を振られ
普段はもっと不器用な人だと言いかけたけれど
会わせてくれた恩からその言葉を飲み込んだ。
宮舘先生はまた楽しそうに笑う、
その表情をまた見ることができるなんて
心のモヤが少しずつ晴れていくような気がする。
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
公園に到着すると
宮舘先生は軽くベンチを払ってくれて
お礼を言って腰を掛けると、彼も私の隣に腰かけた。
「ずっと気にかけてくれてたって聞いてびっくりした
いきなり辞めたから、もう俺の事なんて覚えてないだろうって。」
「ずっと覚えてましたよ
それに、その…」
私だっていきなり辞めて逃げたんだから
宮舘先生の事を言える立場ではない。
次の言葉が出ず黙り込んでしまうと
宮舘先生はただじっと私を見つめた。
全てを見透かされていそうなその視線に
思わず俯いてしまった。
「神崎さんは今、大学の看護教員なんだよね。」
「…はい。」
「正直、俺も神崎さんが心配だった。
責任感が人一倍強くて感情移入しやすいタイプだったから
きっと…俺と同じ選択をするだろうなって。」
やっぱり宮舘先生にはすべて見透かされているようだ。
言い当てられてしまい再び黙り込むと
彼は私から日が沈み始めた空へを視線を移した。
「なにも辞めることはない、何も悪くないんだからって
神崎さんは一番武くんを気にかけてたじゃないかって
言いたかったけど、俺の立場からじゃ言えなくて」
「…。」
「あの時は責任を取るってことしか頭になくて
医者を辞めて連作先も住む場所を変えて
俺も死ねばご遺族の方も納得してくれるかもしれないなんて考えてた。」
「だ、だめです！！」
聞き捨てならない言葉が降りかかってきて
慌てて顔を上げて身を乗り出し、宮舘先生との距離を縮めると
彼は目を丸くしてこちらを向いた。
「ふふ、ちゃんと聞いて
“考えてた”だからね？
過去形だから、もうそんなことは考えてないよ。」
「そう…ですよね。」
「そういうところも昔から変わらないね、嬉しいよ。」
お腹を抱えて笑う宮舘先生に
私は顔を赤くしてベンチの端に座り直した。
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読者A(プロフ) - いつも ぱくたろうさんのお話を読ませていただいていたのですが私事で久しく占ツクを開けていないうちに新作を作られて完結されていたので2日で一気読みさせて頂きましたが、、、安定にボロボロ泣きました…今回も素敵な作品をありがとうございました。 (2023年1月16日 14時) (
レス) @page39 id: c0ba04e557 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 青こなこさん» 最後までありがとうございました！お返事遅くなりすいません。共感していただけて嬉しいです！こちらこそありがとうございました🙇♀️ (2022年12月27日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
青こなこ(プロフ) - 完結おめでとうございます。ぱぐたろうさんの作品、いつも楽しく読ませて頂いています！私も医療系に携わっていることもあり、患者さんとの関わり方や葛藤など、共感するところが多かったです。素敵な作品をありがとうございました！ (2022年11月30日 22時) (レス) @page39 id: e1d2c6feb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年10月21日 19時
