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「実際、そういう遺族の方はいるよ。
やっぱり身内の死は受け入れられない人が多いし
俺がその立場でもそういう行動を起こすかもしれない。」
「…うん。」
「俺も遺族の方に
涙も流さないなんて冷徹な奴だなって怒鳴られたことあるし。
辛かったし泣きたかったけど
他の患者さんを不安にはさせたくないしって、我慢してたのが裏目に出て。」
そういえば照は准看護師時代に
緩和ケア病棟に務めていたことがあると言っていた。
誰も悪くないからこそどちらも辛くて
一番精神面を削られる病棟なんじゃないかと思う。
「やっぱりメンタルには来たよ
ある日突然急変が起きて亡くなって
それだけでも辛いのにさ」
「そうだよね…」
「遺族の方が泣いて縋ってるのを見るのも辛いし
かと言ってそのやり場のない辛さをぶつけられたら
もっと何かできることがあったんじゃないか
そうすれば助かったんじゃないかって自分を責めて、辛くなって」
照は悔しさを表情に浮かべて過去を振り返るその姿は
何処かAちゃんと似ている気がする。
やっぱりどう声を掛ければいいかわからなくて
ただ話を聞くことしかできない。
「何て声かけていいかわかんねえって思っただろ？」
「…うん」
「俺はもう乗り越えたつもりだけど
こういう話になると今みたいな雰囲気になるから
あまり人には話したくない。」
照はマグカップを両手で持ち
中をぼんやりと眺めながらそう呟く。
「つまりは触れてほしくない
きっと神崎先生も、佐久間の話を聞くにそういう考えだと思うよ
だからお前らが申し訳なさそうにする方が
先生の負担になってると思うよ。」
「そっか、」
「噂の真相がわかって
本人がわざわざ訂正するつもりはないって言ってるなら
もうこの話はなかったことにしてあげなよ。」
少し腑に落ちない点はあるけれど
照の言う通り触れてほしくない話題なんだろうというのは
鈍感な俺でも十分にわかる。
でもやっぱり、Aちゃんが俺を励ましてくれたように
俺だって彼女の苦しみを取ってあげたいと思ってしまう。
「佐久間の場合、私情も相まって腑に落ちないんだろうけど
今は実習に集中しろよ。」
「私情って？」
「…まあそのうち気づくだろうよ。」
照の言葉に首を傾げると
楽しそうに笑いながら珈琲に砂糖を入れた。
「…照、それ砂糖何杯目？」
「６杯目。」
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読者A(プロフ) - いつも ぱくたろうさんのお話を読ませていただいていたのですが私事で久しく占ツクを開けていないうちに新作を作られて完結されていたので2日で一気読みさせて頂きましたが、、、安定にボロボロ泣きました…今回も素敵な作品をありがとうございました。 (2023年1月16日 14時) (
レス) @page39 id: c0ba04e557 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 青こなこさん» 最後までありがとうございました！お返事遅くなりすいません。共感していただけて嬉しいです！こちらこそありがとうございました🙇♀️ (2022年12月27日 20時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
青こなこ(プロフ) - 完結おめでとうございます。ぱぐたろうさんの作品、いつも楽しく読ませて頂いています！私も医療系に携わっていることもあり、患者さんとの関わり方や葛藤など、共感するところが多かったです。素敵な作品をありがとうございました！ (2022年11月30日 22時) (レス) @page39 id: e1d2c6feb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年10月21日 19時
