第三章 戴帽式はスタートライン ページ16
＿Sakuma side＿
「佐久間くん、テスト大丈夫？」
なんて言って笑うのは
同じ学科に通う二つ年上の近藤さんで
二人のお子さんがいる主婦でもある。
そんなに年は変わらないのに
どうやら息子さんと俺がそっくりらしく
子ども扱いされることが多々ある。
「ばっちりですよ！」
「講義終わった後も頑張ってたしね！
絶対合格して戴帽式出席しよう。」
近藤さんからの励ましを受け
最後の復習も終えたところで試験監督の先生が入ってきた。
ざわついていた講義室は一気に静かになって
居心地の悪い緊張感が走った。
「鞄は椅子の下に置いてくださいね。」
床は不潔だから物置くなって、普段は口酸っぱく行ってくるのに
テストの時は鞄を下に置くよう指示するなんて矛盾してる。
なんて屁理屈を飲み込むとテスト用紙が回ってきて
合図とともに試験が開始された。
「教えてもらったとこだ…」
Aちゃんから教えてもらったところは勿論、
俺を心配して勉強を見に来てくれた照からの助言も役立って
回答の八割ぐらいには自信を持つことができた。
「次は白衣に着替えて身だしなみを整えて来て下さい。」
これは確実に合格ラインの点数を取れたはずだ。
自信満々に講義室を出れば背中をポンと叩かれ振り返ると
相変わらずの仏頂面のラウールがいて
俺の隣に並ぶと物理的に見下ろして、視線で訴えかけてきた。
「これは確実に受かった。」
「ならよかった、同居人が留年なんて複雑だから。」
「素直じゃないな。」
肘で小突きながらおどけて見せると
耳を赤くしたラウールは足早に更衣室へ向かってしまった。
俺も駆け足でその後に続き、急いで白衣に着替えると
伸びきった爪に気づき、やべっと小声で呟いた。
「誰か爪切り持ってない？！」
「俺持ってる！」
更衣室にいる全員に聞こえるような声で問いかけると
少し離れたところで着替えていた学生が反応してくれて
わざわざ俺の所にまで爪切りを持って来てくれた。
あまり話したことはないけれど
数少ない男子学生の団結力は凄まじい。
嫌な顔せず貸してくれた彼にお礼を言うと
気にすんなと爽やかに笑みを浮かべた。
「ペアの子、不整脈あるんだよなぁ」
バイタルサインの実技試験でペアを組んでいる子に
不整脈があることは練習の段階で把握している。
そこさえ注意していれば問題はない、
後は今から発表される試験官が誰なのかで運命が決まる。
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ぱぐたろう(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます！読んでくださって嬉しいです！ここから後半戦に入りますので、ゆっくりにはなりますが最後までよろしくお願いします🙇♀️ (2022年10月21日 19時) (
レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 最新話がなんか切なくて泣いちゃいました(;_;) 毎回更新して下さるの嬉しいです(><) 無理の無い程度に更新頑張ってください、！ (2022年10月17日 23時) (レス) @page40 id: 4d27a85535 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - aggyさん» はじめまして！コメントありがとうございます🙇♀️そう言っていただけて嬉しいです！最後まで頑張ります！ (2022年9月24日 19時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。わかりみが深すぎるお話で続きが気になります！どうなっていくのか楽しみにしてます！ (2022年9月24日 10時) (レス) id: f3f23b79cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2022年9月23日 18時
