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また初めて見る表情だ。
誰かもわからないのに、どれだけ好きかが伝わってきて
立ち止まっているのは私だけなんだと
胸が苦しくて張り裂けそうになった。



「その子ね、ツンデレで
 黒髪で童顔で、本人はブスだって嘆いてたけど
 本当に可愛くてさ、特に寝顔!
 寝坊助で何回起こしても起きないけどついつい許しちゃう。」



楽しそうに話す大介の姿は
嬉しいような、寂しいような
何とも言えない不思議な感情が芽生える。


「すごく、伝わってきます。
 好きな気持ち。」


「ホント?
 いやぁ、本人にも伝わればいいなぁ…。」



「もう伝わってると思いますよ。」



「そうだといいな。」



照れると鼻を掻く癖、相変わらずだな
幸せそうでよかった。
大介に了承を得て、買っていたミルクティーを飲むと
赤信号になり車が停止して、辺りは静かになった。









「そういえばさ、聞いてたでしょ。」


「何をですか?」


「ん?フリースクール行った時の
 俺と照の話。」



飲んでいたミルクティーを吹き出しそうになった。
ゆっくりと大介の方に顔を向けると
その姿が面白かったのか大介のツボにはまり
大きな声を上げて笑っている。



「ふふ、バレてないと思ったの?」



「すいません…。」



「いいよ、Aちゃんも気になってたんでしょ?
 引っ越しちゃった理由。」



そういえば初めて会った時に
佐倉さんにお礼を言いたいっていう名目で
あの家を訪ねたということにしていたんだった。



「いやぁ、でも
 土下座を覗くのは悪趣味じゃない?」



「それもバレてたんだ…すいません…。」



「まあ別にけど。」




気まずい沈黙が流れるけど
車内だから逃げ場もなくて、じっとしていることしかできない。
何かこの状況を脱する方法はないかと
必死に疲れた頭を働かせた。



「幻滅した?」



「へ?」



大介が力なく言うから、
あの日のことを思い出してまた泣きそうになる。




「大切な人が苦しんでるのにも気づかないで
 気づかないうちに追い詰めたかもしれないし
 それなのに自分は、なりたかった警察になって
 いい人たちに囲まれて幸せに暮らして。」









「佐久間さんのせいじゃない!」





自分でもびっくりするぐらい大きな声が出て
車内に響き渡ると、大介は目を大きくしてこちらを見ていて
でもそんなこと気にならないぐらい
私の思いは爆発していった。

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まいちゅん(プロフ) - ぱぐたろうさんの世界観が好きです。 (2021年1月25日 0時) (レス) id: 3613c412bc (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ユウさん» ありがとうございます!うれしいです、励みになります。今日からまた更新しますので是非見てください(^▽^) (2021年1月21日 19時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - りささん» こちらこそ読んでいただきありがとうございます!そう言っていただけるとすごくうれしいです!りささんもお体ご自愛下さい、更新頑張ります(^^) (2021年1月21日 19時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - Roseさん» ありがとうございます、励みになります!Roseさんもお体お気をつけてください!(^^)! (2021年1月21日 18時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - しおさん» ありがとうございます!本日更新しますので是非見てください(^^)無事に楽しめました! (2021年1月21日 18時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2021年1月13日 20時

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