第三章 接触 ページ21
「母さんたちには黙っておくけど
もうこんなことはしないでね。」
「うん、おやすみ。」
涼ちゃんはあれ以上怒ることはなかったけど
俯いたときに震えている両手を見て申し訳なくなった。
夕食を食べ、早めにお風呂を済ませると
なんだかリビングに居づらくて、逃げるように部屋へ向かった。
「…頭痛い。」
今日一日でいろいろありすぎて
感情と思考がついていかない、凄く疲れた。
でも、大介の顔だけでも見ることができた
それだけでもう十分な気がした。
“たとえ無事でも、大切な人が突然いなくなるのは
とっても怖いことなんだから。”
「あんな顔、初めて見たな。」
大介は、小学生になったばかりの頃
前後の席になって話しかけてきてくれてから
中学に入ってもずっと私の隣にいた。
高校だって、私が目指している学校を知ると
塾を何個も掛け持ちして偏差値を20も上げて
同じ学校を受験し、クラスが離れたから一緒に入れなかったけど
行きと帰りは必ず一緒だった。
“A不器用だから、俺がついてなきゃ駄目なの！”
それが口癖だった。
こんなありがちで少女漫画みたいな幼馴染が存在するのかと
幼心にずっと思っていた。
「家族の居場所
教えてもらえばよかった…。」
いや、でもこれでよかったのかもしれない。
連絡先とかも交換していない、今住んでいる場所も知らない。
でもその方が後腐れなく
佐倉Aとしての人生を終えることができる。
最後に元気な顔が見れてよかった。
眠りに就こうとしたとき、ベッドにスマホの振動が伝わり
画面には結ちゃんの名前が表示されていて
不思議に思いつつ通話ボタンを押した。
“あ、A？
ごめん、寝ようとしてた？”
「大丈夫、どうしたの？」
“いや、その、大丈夫かなって。
あのくそ教師とか、アンケートの事とか。”
くそ教師…おそらく亮平の事だろう。
心配してくれたことへの嬉しさも勝って笑うと
安堵の声が聞こえて、そこからは他愛のない話が始まった。
今日寝たら、今度こそ今の人生を楽しむ。
昔の事なんてさっぱり忘れて、そう望んでいるのに
でもどうしてか、心のモヤモヤは晴れることがなかった。
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まいちゅん(プロフ) - ぱぐたろうさんの世界観が好きです。 (2021年1月25日 0時) (
レス) id: 3613c412bc (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ユウさん» ありがとうございます！うれしいです、励みになります。今日からまた更新しますので是非見てください(^▽^) (2021年1月21日 19時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - りささん» こちらこそ読んでいただきありがとうございます！そう言っていただけるとすごくうれしいです！りささんもお体ご自愛下さい、更新頑張ります(^^) (2021年1月21日 19時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - Roseさん» ありがとうございます、励みになります！Roseさんもお体お気をつけてください!(^^)! (2021年1月21日 18時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - しおさん» ありがとうございます！本日更新しますので是非見てください(^^)無事に楽しめました！ (2021年1月21日 18時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年1月13日 20時
