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「今までの中で一番美味いかも。」
「ならよかった、
…しっかし雨すげえなぁ。」
「まあ六月だし、
早く夏になってくんねえかな。」
講義が終わるとさっさと帰る準備をして
前々から行きたかったカフェへと足を運んだ。
評判通りのチョコケーキを頬張りながら
土砂降りの外の景色をぼんやり眺めて
ふっかと他愛のない話をしていると気がまぎれた。
「ありがと。」
「何改まって〜、
俺もここ気に入ったし。」
デザートを食べ終わると珈琲を飲みながら
外の景色を眺め雨が弱まるのを待っていた。
色とりどりの傘が交差していくのを見ていると
目が回りそうになって視線を逸らした。
「なあ…照？」
「ん、なに？」
「あんまりため込むなよ、
俺暇人だからいつでも話聞けるし
何なら俺が照の家居座ってもいいし？」
「お前後半が狙いだろ。」
バレたかと言いながらへらっと笑うふっかは
やっぱり波長が合って落ち着く。
しばらく話をしていたらあれだけ降っていた雨は止んでて
バイトがあるというふっかと店の前で別れた。
灰色に包まれた空を見上げるとまたポツリと雫が落ちて来て
リュックを頭の上に掲げ走り出した。
「あ、照くん！」
「げっ、」
結局本降りになりずぶ濡れになってしまったけど
やっとの思いで家にたどり着き古びた階段を上がっていった。
角にある自分の部屋へ足を進めていくと
昼間のド派手な格好が目に入り立ち止まった。
「もう待ってたよ〜ってずぶ濡れじゃん！」
「…何の用？」
「いや、昼間の話をって思ってたんだけど
風邪ひいちゃ大変だし出直すね！
あ、これ使ってね〜！」
ずぶ濡れの俺を見てケラケラ笑ったかと思ったら
意外と常識は持っているのか階段の方へ歩き出した。
すれ違いざまに俺に何かを渡されて
右手に視線を落とすとハンカチを握らされていた。
「家そこなんだから必要ねえだろ…。」
とはいえ人の気遣いを無下にするほど根性は腐っていない、
ハンカチで軽く顔についた雨水を拭き取ると
鍵を差し込み家の中に入った。
「…カエル。」
すぐ脱衣所に駆け込んで服を脱ぎ、渡されたハンカチを見つめた。
刺繍されているカエルは何だか可愛くて
丁寧にネットへ入れて洗濯機の中へ入れた。
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ぴくみん(プロフ) - ぱぐたろさんの作品の一つ一つ伏線を回収していくお話が本当に好きで、今回もワクワクしながら読んでいたらあっという間にエンディングでした！今回の作品もとても面白かったです…いわふかの関係性が最高でした。 (2021年6月28日 3時) (
レス) id: 3b567ca5ed (このIDを非表示/違反報告)
みー - 他にはないジャンル？のお話で、一気読みしました！すごくおもしろかったです！ (2021年6月27日 23時) (レス) id: 978894b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年6月27日 20時
