20 ページ20
・
「ふっか…？」
「ごめん、大丈夫。
話の続き…いいか？」
真っ青な顔で大丈夫と言われても
全くと言っていいほど説得力はないけど
それよりもこの先の話が気になってしまって
小さく頷くとふっかは続きを話し始めた。
「正人さんは…すごく怒ってた。
当たり前だけど、温厚そうな姿からは想像できないぐらい
凄く怖い顔で怒鳴り続けてて
この部屋で二時間ぐらい怒られ続けた。」
「だから、か。
場所変えるか？」
「大丈夫。」
祖父が怒ったところなんて見たことがない、
だからふっかが話す祖父の姿は想像できなくて
また頭痛をぶり返してしまった。
「親父と母さんは
籍を入れて俺と三人で家族になりたいって、
それを聞いて…照の事はどうでもいいのかって
正人さんがさらに怒って…」
「そっか、」
「ごめん、その後は俺だけ部屋から出されて
何を話してたかは分かんない。
でもその後から母さんは頻繁に会いに来るようになった
祐樹は死んだし照は嘘を信じてるからって。」
祖父の世話にならないよう仕事に出る
そう言っていたのは母の嘘だったんだ、
俺が邪魔だからあんな態度を取って来たんだ。
そう考えるといくら今は仲が悪いと言っても
受けたショックは大きかった。
「最初は親父も母さんも最低だと思ってた、
でも俺も小さかったし
母親に会える回数が多くなるのは嬉しかった。」
「…。」
「次第になんで離婚しないんだって
なんで愛されてない照は家族になれて
愛されてる俺は母さんと家族になれないんだって。」
そりゃそうだ、
これは大人たちの問題であって
ましてやふっかは何も悪くないのに
大好きな母親と家族になれないなんて子供には酷なことだ。
「そういう家庭環境だったのもあってかグレて
大学にはいかずフリーターになった。
でも小さい頃から抱えてた照への憎しみは消えなくて
同じ大学受けて近づいて、酒でも飲まして退学させて
人生めちゃくちゃにしてやろうと思った。」
「じゃあ今まで優しくしてくれてたのも…。」
「違う！…それは本心。
照はめちゃくちゃいいやつで、俺の企みなんて知らずに
親友だって言ってくれて…俺、何やってんだろって。
照だって辛い思い沢山してきたはずなのに…っ、」
ふっかを恨むことなんてできなかった。
それぐらい俺の中でこいつは一番大事な人で
兄弟と言われても嫌な気はしなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 693人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴくみん(プロフ) - ぱぐたろさんの作品の一つ一つ伏線を回収していくお話が本当に好きで、今回もワクワクしながら読んでいたらあっという間にエンディングでした！今回の作品もとても面白かったです…いわふかの関係性が最高でした。 (2021年6月28日 3時) (
レス) id: 3b567ca5ed (このIDを非表示/違反報告)
みー - 他にはないジャンル？のお話で、一気読みしました！すごくおもしろかったです！ (2021年6月27日 23時) (レス) id: 978894b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年6月27日 20時
