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「でもさ、母さんにとっては
自分を苦しめてきた旦那の父親なわけじゃん？
だから養ってもらってても仕事バンバン入れて
じいちゃんの事を毛嫌いしてた。」
「複雑だよね〜
私そんなの耐えらんない！」
「ふは、お前もっと気使って発言しろよ。
…母さんの気持ちもわからなくもないけど
じいちゃんの辛さだって理解できるから
複雑…というか、何なら母さんの事が苦手になった」
「まあでも、そんな状態の時こそ
少しでもそばにいて欲しいよね。」
Aは明るいテンションのまま
こちらを向くことなく俺の欲している言葉をくれる。
どうしてたった数日しか関わっていない彼女は
こんなにも俺の心の中にすんなり入ってくるんだろう。
「母さんも俺に対して
段々言動が厳しくなったり無視されたりするようになって
家の中はピリピリしてて。」
「…なんかさ、大人って勝手だよね！
不倫も離婚も子供はなーんにも関係ないのに
振り回されて無下にされちゃってさ！」
「…そう、なんだよ。」
「あ、泣いてもいいよ？
私そっち見ないし。」
ずっとこちらを見ずに話し続けていたのは
Aなりの気遣いだったようで
何年かぶりの涙を嗚咽交じりに流す間、
彼女はまた小さな声で歌を口ずさんでいた。
「なんか、悪い…。」
「全然大丈夫だよ〜、
んじゃそろそろ帰るね！
そうだ、寂しくならないようにこれあげるね？」
しばらくして俺が泣き止んだのを確認すると
高そうな鞄の中を漁りだして
毛糸でできたカエルのマスコット人形を取り出した。
「あみぐるみのけろっぱちゃん！」
「またカエル…。」
「可愛いっしょ！
んじゃここに置いとくから
鍵は閉めたらポストに入れておくね！」
枕元にマスコットを置くと
手をひらひらと振って部屋を出て行った。
玄関から鍵がポストに落ちる音が聞こえて
一気に睡魔が押し寄せてきた。
「あみぐるみ…けろっぱ…。」
よく見るとあのハンカチと同じカエルだ。
どことなくAに似ていて
優しく両手で包み込むと自然に笑みがこぼれた。
窓の外に目を向けると雨は止んでいて
静かになった部屋の中で重い瞼を閉じた。
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ぴくみん(プロフ) - ぱぐたろさんの作品の一つ一つ伏線を回収していくお話が本当に好きで、今回もワクワクしながら読んでいたらあっという間にエンディングでした！今回の作品もとても面白かったです…いわふかの関係性が最高でした。 (2021年6月28日 3時) (
レス) id: 3b567ca5ed (このIDを非表示/違反報告)
みー - 他にはないジャンル？のお話で、一気読みしました！すごくおもしろかったです！ (2021年6月27日 23時) (レス) id: 978894b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年6月27日 20時
