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佰肆拾弐 ページ14

「でも、あんな顔をして頼まれたら断る事が出来なかった。乃公(・・)が彼奴を終わらせ、彼奴が乃公を終わらせたあの日の事があったから、尚更断る事が出来なかった……資格が無かったんだ」


「仁。君が混乱し、動揺して、おまけに後悔までしている事はよく判った。だが、何を云いたいのか、そして私達の質問に答えてくれないと──」


「太宰、作之助。済まなかった」




仁は車を停めて、謝罪した。
織田が窓越しに外を見た。
そこは手元にある地図__ミミックが子供達の部屋にある二段ベッドにナイフで刺して残していた“幽霊の墓所”と書かれたモノと同じ場所だった。



太宰は云うまでもなく、織田ですらも仁の態度、そして場所を見て察せないほど鈍感では無かった。
次第に二人の顔から血の気が引いていく。




そして仁が二人に、静かに告げた。




「Aが一人でミミックと戦っている」




その言葉を聞いた太宰が仁の胸倉を勢いよく摑んだ。首元が締まった仁は小さく呻き声をあげる




「何故だっ!何故止めなかった!!止める事が出来なかったのなら何故私達に云わなかった!何故共に行かなかったんだ!!」


「ッ、俺だって共に戦うと何度もAに云った!それでもAは拒んだ!!俺とA以外にこの作戦を話す訳にもいかず、実行できる者も居なかったんだ!本来存在すべきでは無い俺達(・・・・・・・・・・)にしか無理だったんだ!!お前にこの俺の気持ちが判るか!!?」


「そんな事、判る訳が無いだろう!?唯、君は、君の判断は間違って──」


「仁、太宰。喧嘩は後だ。直ぐにでもAの元に辿り着くのが今、俺達がすべき最善の行動だ」




織田が低く、よく響く声で云った。
言葉だけ聞けば落ち着いているが、冷や汗をかいている様を見れば彼も相当心の中で葛藤しているのが二人には判った。


太宰は仁から手を離して車から転がる様に飛び出て、林道を駆けた。
そのすぐ後に織田と仁が続いた。




「頼む、A。私達が行くまで持ち堪えてくれ────!」





__太宰の言葉は、妙に静かな林道に響く三人の足音に掻き消された。

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黒龍(プロフ) - ハリネズミの毛玉さん» 此処までこの作品に付き合って頂き本当にありがとうございました!皆様のお陰で完結する事が出来ました!ちまちまと番外編も書いていこうと思っていますので、良かったら暇潰し程度にまた読んで頂けると有難いです^^ (2020年3月27日 23時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - ちょこれーとさん» 此処までこの作品に付き合って頂き本当にありがとうございました!そう云って貰えると迚も嬉しい限りです!ちまちまと番外編も書いていこうと思っていますので、良かったら暇潰し程度にまた読んで頂けると有難いです^^ (2020年3月27日 23時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミの毛玉(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした! (2020年3月27日 9時) (レス) id: 9b2a72a438 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 完結お疲れ様でした。とても面白い作品でした! (2020年3月27日 9時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - マーシャさん» 嬉しいお言葉、有難う御座います!不定期にはなりますが更新頑張ります!! (2020年3月2日 1時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒龍 | 作成日時:2020年1月23日 2時

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