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佰弐拾玖 ページ1






クヌギの雑木林が繁茂する林道を抜けると、その洋館が見えた。



最初に見えたのは、紫のスレート葺きの屋根と、宗教意匠の入った半円形の破風(ペディメント)だ。
暮れかかる夕日を受けて、林の中にぼんやり浮かび上がっている。



砂利敷きの小路を登った先に、短機関銃を携行した二人のミミック兵が居た。見張りらしい。




『ちょっと訊いていいか?』




私は歩きながら、無造作に二人に声を掛けた。
驚いたミミック兵が銃口を私のほうに向ける。
だが私は両脇の拳銃囊から拳銃を抜いていた。


左右同時に二発。


銃弾はミミック兵の胸にめり込んだ。
二人のミミック兵は、ほとんど何が起こったかも判らず倒れた。
人間が地面に崩れ倒れる湿った音が、ほぼ同時に林に響いた。



私は拳銃を仕舞い、倒れた兵に目を向けないまま再び歩き出した。




アプローチを抜け、洋館の正面玄関へ向かった 。




私は洋館の屋根に近い三階の小屋裏を見た。
採光窓(ドーマ)の向こうに、狙撃銃を提げた見張りの哨兵がいた。
私が狙撃兵が気付くルートを避けて接近したため、すぐ真下に接近されても侵入者に気づかなかったのだ。



私は指を弾いてその兵に合図を送った。
狙撃哨兵はその音に気付き、私の姿を見て仰天した。



兵士が狙撃銃に手をかける前に、私は拳銃で兵の胸に撃ち込んだ。
兵は大きくのけぞり、後方の階下へと落下して派手な音を立てた。
見張りが落ちる音で、中の兵士も異状に気がついただろう。



私は普段通りの足取りで正面玄関前のポーチまで来て、一度立ち止まった。



私は自分の手を見た。
つい今しがた三人の人間を撃った手を。
それはどこまでも自分の手だった。
あの頃とも、今迄の手とも寸毫も変わらない。



洋館の中が騒がしくなりはじめた。
怒声に床を踏み鳴らす音、銃弾を装填する音。



私は正面玄関のフレンチ・ドアから横に移動した。
そして石の柱飾りが彫刻された隣の壁に背中をつけた。
背中を硬い石壁につけたまま、私は腕を横に伸ばして、木造の玄関ドアをノックした。



同時に地面が割れたみたいな轟音が響き渡り、ドアが無数の銃弾で叩き砕かれた。
ドアが粉々の木片となって飛び散った。

佰参拾→



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黒龍(プロフ) - ハリネズミの毛玉さん» 此処までこの作品に付き合って頂き本当にありがとうございました!皆様のお陰で完結する事が出来ました!ちまちまと番外編も書いていこうと思っていますので、良かったら暇潰し程度にまた読んで頂けると有難いです^^ (2020年3月27日 23時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - ちょこれーとさん» 此処までこの作品に付き合って頂き本当にありがとうございました!そう云って貰えると迚も嬉しい限りです!ちまちまと番外編も書いていこうと思っていますので、良かったら暇潰し程度にまた読んで頂けると有難いです^^ (2020年3月27日 23時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミの毛玉(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした! (2020年3月27日 9時) (レス) id: 9b2a72a438 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 完結お疲れ様でした。とても面白い作品でした! (2020年3月27日 9時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - マーシャさん» 嬉しいお言葉、有難う御座います!不定期にはなりますが更新頑張ります!! (2020年3月2日 1時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒龍 | 作成日時:2020年1月23日 2時

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