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参拾壱 ページ37

私は先刻迄と全く同じ格好で居た。
背中越しに蘭堂さんの温もりを感じる。
腹辺りに回された手は蘭堂さんのものだった。
未だ炎はこの部屋をのみ込んでいない。




『蘭堂さん!今直ぐに異能を使って身の安全をッ!』




私は彼と自身を護れる様な異能を持っていない。対処しようにも出来ない事態だ。
何時もと違う私に緊急事態だと咄嗟に判断してくれた蘭堂さんは異能で私達二人と周辺を囲い込む。
次の瞬間この部屋を強い風と燃え盛る炎が異能空間を除く辺り一体をのみ込んだ。


爆破された、その事実を理解した蘭堂さんは大きく目を見開いたまま私を見た。
彼が驚くのも当然だろう……私は前世から持ち合わせているこの能力の事は誰にも云って無いのだから。




「Aさん、若しかして貴女も異能力者だったのか?」




その問いに曖昧に微笑しておく。
確かに之は異能であるが異能では無い。
私なりの区別(反抗)の仕方だった。
一緒の様で一緒では無い。否、一緒にしたく無い。


天井を見上げると爆破によって大きな穴が空いていた。炎は爆破の威力の割には意外と落ち着いてきている。之以上の被害は無さそうだ。




『天井に大きな穴が空いてしまいましたね。炎の方は数分すれば鎮火すると思いますが一応危険なので離れておきましょう』




何か云いたげな蘭堂さんに気付かない振りをして手を離すように促し、立ち上がった。
彼は渋々といった表情だったが、風通しが佳くなってしまったこの部屋は何時もよりも寒く感じるので先程よりも身体を震わせている。


爆破によって壊れ、近くに落ちていた木々の破片を何本か拾い集めて暖炉の中へと放った。
即興の薪代わりだが本を燃やす蘭堂さんよりかはマシだと思いたい。




「この屋敷を爆破され、外では銃声。そして何より何時もの三倍寒い……最悪の気分だ」


『今度こそ紅茶淹れて来ますので少々お待ち下さい。御願いですからじっとしていて下さいね?』




念押ししてから部屋を出て(といっても崩壊しているので外に出るのと変わらないのだが)左側に位置する台所(キッチン)へと向かった
此方側は少しだけ物が落ちたりして使えなくなっているが、どうやら殆どが無事らしい。


お湯を沸かし準備をしている間に銃声も止み、二人対GSSの戦いに決着が着いたのだと理解した。
勿論太宰さんと中也さんの勝利に決まっている
徐々二人に着いていく時間か……


話が進むにつれてほんの少し、ほんの少しだけ胸が痛んだ気がした。

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黒龍(プロフ) - 様々なオタクさん» もしやSAOの……?() (2021年6月12日 19時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
様々なオタク - ヴァッサーゴ?!ヴァサゴ?!POH?! (2021年6月12日 18時) (レス) id: eccd7c5314 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - 布教する猫さん» コメントありがとうございます!更新に関しましては不定期になりますが頑張ります^^ (2021年1月16日 11時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
布教する猫(プロフ) - すっっごく面白いです!!更新頑張って下さい!!(* ´ ▽ ` *) (2021年1月14日 20時) (レス) id: 0899319726 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - じしゃくさん» コメントありがとうございます!そして、そこに気付いて頂けて凄く嬉しいです……!! (2020年3月29日 17時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒龍 | 作成日時:2018年5月21日 1時

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