二度目の人生はあの子が愛した世界で【文豪ストレイドッグス】

弐拾参 ページ29

そして眉間を暫く指でつまんだ後、何か納得した様に頷いた。




｢太宰君が以前云っていた事は私も少し思う処は有ったが……今改めて確信した気がするよ……｣




太宰さんが？一体首領に何を云ったのだろうか……変な会話も行動もしていない筈だが、私は私自身が気付かない内に何か可笑しな事でもしていたのだろうか？？


首領は首を傾げる私の肩に手を置いて確りと視線を捉える。
まさか私はこの歳になって迄説教を食らうのか……？




｢いいかいA君、こういう事は今後……少なくとも組織外の人間にはしないように。勘違いする輩が出て来てしまうし、格好的には男性の様に見せているが君は女性なのだから何かあってからでは遅い。判ったかね？……後、守備範囲の事は云わなくて善いからね｣


『……？はい、了解致しました』




一応私の本来の得物は銃だが、剣術や武術等も一通り心得ているので、そこらの構成員や敵を撃退するぐらい何とでもない。
実際にこの一年で三回狙われたが全て返り討ちにした。


抑々(そもそも)何を勘違いするのだろうか……あ、そうか。私が弱いと勘違いされて敵の捕虜になれば面倒事が増えてしまうという事か、納得した。


後、守備範囲の事は云わなくて善かったらしい。
しかし私は最下級構成員、それに対して森さんはこの組織の長(トップ)であるので軽々しく触れてはいけない……善い理由だと思ったのだが駄目だったか。



未だ何処か呆れた様な表情をしている首領に笑顔のまま無理矢理書類を押し付けると駄々をこねつつサインし始めた。




『処で首領、太宰さんは何の任務を？』


｢嗚呼、例の件だよ｣




擂鉢街での先代の目撃情報の件か。
先刻太宰さんが向かったという事は今頃彼と広津さんが擂鉢街で中原 中也と戦闘開始し始めた頃だな……




『大怪我しないと善いのですが……羊の王の襲撃で』


｢軽い怪我はすると思うから念の為に薬品箱を用意しておこうか｣


『そうですね。嗚呼、後、羊の王に首領として会うのなら明日の為の着替えの方も用意しておきますが如何なさいますか？』


｢じゃあ其方も頼むよ｣


『了解致しました』




薬品箱と原作通りの衣服の用意に蘭堂さんへの連絡、太宰さんが先代首領を倒す時に身に付けていた金属(？)に一応修理屋も手配しておくか。


…………現状金銭的にやや難有りなので特別に貯金していた金で修理代は払ってあげようと思う。

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