二度目の人生はあの子が愛した世界で【文豪ストレイドッグス】

拾伍 ページ19

『だから友達になりましょう』


｢……いや、なんっ、はぁっ！？｣




初めて見せた彼の動揺にクスクスと笑うと顔を真っ赤にし乍ら、｢笑うなっ！｣と怒られた。
修治の時は向こうから友達になろうと云われたので若しかしたら此方から云えば修治もこういう反応だったのかもしれない。




｢……はぁぁ、何で僕なの。君なら蘭堂さんとか居るじゃんか｣




本日何回目かの溜息を吐いて再び面倒臭そうな顔をし、おまけに遠回しに嫌と云われているが此方は何が何でも友達になると決めたので効かない。




『此処の皆様とは仲良くさせて頂いてますが友達は居ません。勿論此処に入る以前から友達は居ませんし家族も居ません』




之は此の世界ではと云う意味だが、或る意味本当に当てはまっているのかも知れないな。
……彼方の皆にはもう会えやしないのだから。




『だから私は、私を見つけて下さった貴方に“初めての友達”になって頂きたいのです』




じっ、と太宰さんの目を見た。
太宰さんは少し、ほんの少しだけ戸惑いの表情を表した。その証拠に目を泳がせている。
これは後……一押しでいけるか…………？




『どうか私の友達第一号になって頂けませんか？』




少し屈んで手を差し出した。
太宰さんは目を見開いたまま固まって動かない。
出会って間も無い状態で友達になろうなんて普通は中々信じられないし、彼の様な性格なら尚更警戒するかもしれない。否、しているだろう。
でも……少しだけで善い…………少しだけ信じては貰えないだろうか？



私の視線に耐えきれなかったのか、はたまた急に言った言葉に呆れたのか彼は降参だという風に両手を上げた。




｢判った、なればいいんでしょ、なれば……後悔しても知らないからね。後、友達第一号って云い方厭だ｣




そう云って彼は私の手を取った。
善かった、たとえ少しでも警戒心を解いてくれた事に口角が自然と上がる。





『後悔なんてしませんよ……だって初めての友達(太宰さん)ですからね』









­­­✄­­--­­--­­--ｷﾘﾄﾘｾﾝ­­--­­--­­--✄­­



(｢拒否権なんて殆ど無かった癖に……｣)

(『何か仰いましたか？』)

(｢何でもなーい｣)

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