拾参 ページ17
太宰さんの言葉を聞く前に首領は部屋から出ていった。
はぁ、と重々しい溜息を吐いた太宰さんは不満そうな顔をし乍ら窓を開けて視界下に広がる街を眺めていた。
一方で私は血濡れたシーツ類をビニール袋に入れ、遺体を遺体収納袋の上に置きチャックを閉じた。
防腐の為にも氷等を用意した方が善いのだが知り合いの葬儀屋に連絡し、直ぐに来ると云われたので大丈夫な筈だ。それに今回は後の話の為にも土葬にする必要がある。
「ねぇ」
『如何なさいましたか?』
「何で森さんが首領になるって判ったの?」
ぼんやりと外を眺めたまま可也痛い処を突く質問をしてきた。
全てを知っているやら此の世界の人間では無い等云えば間違いなく変人扱いになる。
かと云って在り来りな返答をすれば彼は一層疑念に思う。
だが生憎私には彼にとっての善い答えを導き出す頭は持ち合わせていないので正直に答える事にした。
『理由その一、首領は先代首領を其の手で殺めた。その二、首領は専属医でしたので何処の派閥にも属していない。その三、首領は此の街を愛している。以上の事から私は
本当に?とでも云いたそうな顔で此方を見ているが無視だ無視。
じーっと突き刺さる視線を向ける太宰さんと壁に着いた血を拭いて見知らぬ振りをする私。
気まずい空気が漂う中、その空気を破るかの如くドアをノックする音が響き渡り、誰かが部屋に入って来た。
……危ない、血は急いで拭き取ったし、袋やらをドアから見えにくい位置に置いといて善かった。
『蘭堂さん、如何して此処へ?』
「首領から頼まれたので。病気により先代首領が亡くなられたのでAさん一人では運び難いだろうから私が代わりに運んで欲しいと」
『成程、ですが大丈夫ですよ。蘭堂さん何時もより寒いのでしょう?身体の震えが酷いですし……』
「確かに凍えてしまいそうな程寒いですが何時も貴女には美味しい紅茶やお菓子を頂いているので、その御礼代わりですよ。それに私達の仲でしょう?」
確かに私は蘭堂さんとは可也仲良くさせて貰っているのだが、本当は死体が欲しいのでは?と思ってしまう。
十五歳編での初任務、太宰さんと中原 中也が蘭堂さん相手に共闘した時、蘭堂さんは自身の異能を説明していた。
あまり詳しく覚えていないが先代首領の死体は必要だった筈だ。
そして絶好の機会が訪れた今、取りに来たのだろう。
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黒龍(プロフ) - 様々なオタクさん» もしやSAOの……?() (2021年6月12日 19時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
様々なオタク - ヴァッサーゴ?!ヴァサゴ?!POH?! (2021年6月12日 18時) (レス) id: eccd7c5314 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - 布教する猫さん» コメントありがとうございます!更新に関しましては不定期になりますが頑張ります^^ (2021年1月16日 11時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
布教する猫(プロフ) - すっっごく面白いです!!更新頑張って下さい!!(* ´ ▽ ` *) (2021年1月14日 20時) (レス) id: 0899319726 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - じしゃくさん» コメントありがとうございます!そして、そこに気付いて頂けて凄く嬉しいです……!! (2020年3月29日 17時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒龍 | 作成日時:2018年5月21日 1時