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読み終えると同時に持っていた手紙やらを衣嚢に突っ込んで、寝台から立ち上がり部屋を出た。
鏡のある部屋、診療所なのだからトイレとか洗面台とかあっても不思議ではない筈だ。


私が此方に来た証として右目の色が変わってるだと?つまり虹彩異色症(オッドアイ)になっているという事か??
今の所、異常は無いし手紙にも副作用も無いと書かれているが、今後の事を考えれば少し困る。


何個目かの扉を開けると其処に洗面台と鏡があった。
鏡に近付き、前世で任務後に切ろうと思っていた少し長くなった前髪を掻き上げ、自身の瞳を見て言葉を失った。



鏡に映っていたのは紛れもない私だ。
幼少期の頃、恐らくストレスによって白くなってしまった髪。青紫色に似た色の左目。白めの肌。任務中によく着ていた黒服の左胸元に出来た弾丸を貫いた様な痕。


銃創まで見られたら拙いが今の所そこまでは善かった。ただし、そこまでは……だ。




『何故あの子と同じ天色()の瞳が……っ』




手紙に書いてあった通り右目の瞳の色は変わっていた。
此の世界を愛していた(あの子)の瞳の色へと……



洗面台に手をついて唯々呆然と鏡を見つめる。
何度目を閉じて開いてを繰り返しても右目の色は変わらなかった。
神は本当に何がしたい……?
色を変えるなら思い出のある色にしてあげようとでも思ったのか??




『くっそが……』




胸元を抑え、その場に座り込む。
胸糞が悪い、心の底からそう思った。
普段から感情が余り無いと云われる程の私が此処迄判り易く顔を歪めて暴言を吐くなんて前世で私を知っている人物が見たら驚くだろう。



感情を抑える為にも肺に溜まっている空気を全て吐き出した。
吐き出した処で何も変わりやしない、唯の気休め程度だ。
しかし、気休め程度でもそれをやるしかなかった。
身体に害を為すと知りつつ煙草を吸ったり酒を飲んだりする人が善く云うだろう?吸わなければ、飲まなければやってられないと。


そして思考を変えようと衣嚢に突っ込んだ手紙をもう一度見た。
目の事に関して気になり過ぎて気付かなかったがP.S.の部分を見て先刻迄白紙だったモノを取り出す。




『思い出の写真とは、よく云うな、本当……』




一枚は前世で私が養っていた孤児達三人の写真。
もう一枚はよく行っていたBARで友である修治と炳五と撮った最後の写真だった。






写真の中の私達はどれも、楽しそうに笑っていた。

玖→←漆



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黒龍(プロフ) - 様々なオタクさん» もしやSAOの……?() (2021年6月12日 19時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
様々なオタク - ヴァッサーゴ?!ヴァサゴ?!POH?! (2021年6月12日 18時) (レス) id: eccd7c5314 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - 布教する猫さん» コメントありがとうございます!更新に関しましては不定期になりますが頑張ります^^ (2021年1月16日 11時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
布教する猫(プロフ) - すっっごく面白いです!!更新頑張って下さい!!(* ´ ▽ ` *) (2021年1月14日 20時) (レス) id: 0899319726 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - じしゃくさん» コメントありがとうございます!そして、そこに気付いて頂けて凄く嬉しいです……!! (2020年3月29日 17時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒龍 | 作成日時:2018年5月21日 1時

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