10人目の居場所は、ここに。ー４ー (ページ41)

今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:95,124 hit

・ページ41

Miyadate side

画面の向こうで、"彼" は確かに生きていた。

そして、"彼" は終わりの時を迎えた。

そんな1人の人間の人生を演じきった彼は、楽しそうな表情で赤ワインを飲んでいる。

一昨日、きっと先約がいるだろうと思ってうたに "明後日、家行ってもいい？" と聞けば、"じゃあ一緒にドラマ観てくれるってこと？" と予想外の返事が返って来た。

ドラマが始まる30分前から彼のスマホの通知は絶えなかった。

返事をする画面を横から覗けば、大半がラウールと康二からでうたは明らかに話を終わらせたい返事をしているのに、懲りずに下らない話を送ってくる2人。

メールの返事が丁寧、で有名なうたなのに珍しい。

あしらうのに疲れたのかスマホをテーブルの上に置いてこちらを見た。

『なんか、舘さん疲れてる？』

「そんなことないよ。強いて言うなら隣にもメンバーがいるっていうのに放置されてるのに残念がってる顔」

『あははっ！！舘さんがそんなこと言う？えー！！嫉妬？』

「嫉妬？それはちょっと違うでしょ」

お酒のつまみになりそうな物を適当に作って再びリビングに戻れば、うたの手はスマホの上でせわしなくスクロールを繰り返していた。

#葉歌A

で検索された無数の誰かの呟き。

時々指を止めては険しい顔でそれを見つめる。

『あ！ちょっと！スマホ返してくださいよ！』

「エゴサはおしまい。批判的な意見を気にしてどうなるの？」

『……今後の、参考に、って感じで』

「ならない、断言するけどそんな意見が参考になるはずないよ。うたは今のうたの自信を持ってくれなきゃ俺らが困る。うたに憧れてジャニーズに入った後輩だって沢山いるでしょ？」

『…そう、その人たちに申し訳ない、よね』

「うた。今回のドラマ、良い物作れたって思ってる？」

『ちょっとね、』

「それならそれでいいじゃん。自分が良いって思ったものを誰かに届ける。少しでも多くの人が共感してくれたらいいな、ってその思いだけがあれば十分だよ」

『…そうだね』

赤ワインのせいにするけど、ドラマを観て、それはそれは泣いた。

隣に座るうたが軽く引くぐらい、かなり泣いた。

最後に、"Snow Man 葉歌A" の文字を観て、もっと涙が溢れた。

「ずっと一緒だよね」

『うん、勿論』

「今日一緒に寝る？」

『待って、何それ。舘さんがやるボケじゃないよ！え、本気？』

「嘘だよ」

『よかった。けど、いいよ』