10人目の居場所は、ここに。ー４ー (ページ38)

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Iwamoto side

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画面の向こうで、"彼" は確かに生きていた。

そして、"彼" は終わりの時を迎えた。

1人の人生を全て見終えた時、形容しがたい喪失感が体を支配した。

Aは、まだまだ短い人生の中で何度も置いて行かれる側、そして置いて行く側になった。

そんな彼の人生とドラマの中のフィクションでありながらノンフィクションである世界に重なる度に、思い出される過去の記憶。

もっと彼のことを知ればよかったと後悔した日のことなんか、昨日のことのように覚えている。

どうせ彼のことだからドラマ終わりに先輩や後輩から大量の連絡を貰っているんだろう。

明日会える自分がそのひとときを分断するのは違うように思えたから、ほんの少しの思い出話を添えてメールを送った。

"うたが死のうとした時のこと、思い出した"

阿部のたった一言だけのメールを読む前から、俺もその時のことばかりを振り返っていた。

阿部とか舘さんみたいにAの家を頻繁に訪れていた訳じゃないから当たり前なんだけど、吐きださずに溜め込んでいた負の感情があっただなんてとてもじゃないけれど知らなかった。

増してや、もうすぐ仕事に戻れるのかもしれないと期待していた自分がバカだった。

阿部からの連絡をもらって病院に着いた時、阿部は見たこともないような表情をしていて自我すら失っていた。

1日か2日で意識が戻るだろうと言われたけど、結局目を覚ますまで4日かかった。

モニターに点滴に、体のあちこちには管が刺され、ガタガタと暴れるのを抑え込むための拘束まで。

理路整然と言葉を並べる彼が、目を覚ますなりボソボソとよく分からない言葉ばかりを喋っていた。

まるで、俺らの姿が見えていないかのような死んだような目をしていた。

"もう、二度とないよ"

そう阿部に返事をしたところで、突然Aから電話があった。

『岩本くん！明日のレッスンのことなんだけど』

「ふふっ、」

『え？なに？なんか変なこと言いました？』

「ううん、いや、いつも通りで良かったって思っただけ」

『なんか、みんなに色々と思い出させちゃってるみたいですね』

「でも、思い出す度にAが生きてて良かったって思うよ。俺らはAが思っている以上に助けられてるから」

『岩本くんにAって呼ばれる度にギュン！ってなるんですよね』

「なんだよそれ」