10人目の居場所は、ここに。ー４ー (ページ26)

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Hauta side

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ふ、と意識が戻った時、今日の撮影の夢を見ていたことに気付いた。

あそこのシーンがもう少し、と今更思い返したって無駄なのに。

すっかり冷え切った体を起こして壁に掴まりながら立ち上がる。

トイレに入った後、しばらく眠ってしまっていたみたいだ。

鍵を開けて扉を開けようとするが何故か重くて開かない。

「んっ、わ、あ！！お兄ちゃん！」

『……葵、ここで寝てたの』

「顔色、スゴク悪いよ」

『今って何時？』

「朝の3時半。部屋戻って寝た方がいいよ」

『…だね。ゴメンさっきは葵に当たり散らすのはダメだった、普通に有り得ないことだった、許して』

「いいって気にしてないし、大変なの分かってるよ」

『葵だって大学のことも忙しいし家の片付けとかまでやってもらっちゃってさ、しかもまた撮影で暫く家帰って来れないから任せっきりになるし』

「お兄ちゃん！ダメ、考えすぎは良くない。今お兄ちゃんがしなきゃいけないのは何？」

『……明日、じゃない今日か、ファンフェスだね』

「ギリギリまで休んでから行ってね。それと、僕も見に行くし」

『………え？聞いてないよ』

「言ってないもん、今初めて言った」

『うわ、緊張する』

「ほんと？」

『家族が見に来るって予想以上に緊張するんだね、どうしよう、振り飛ばないかな』

「大丈夫だって。それよりお兄ちゃんがぶっ倒れたらどうしようってそればっかり気になるからちゃんと寝てから行ってよ？」

『その時は葵が医者です！道通して下さい！って言ってステージまで来てくれるんでしょ？』

「あのね、僕はまだまだ医者って名乗れる段階じゃないからそういうドラマみたいなのは無理なの。もう、なんでもいいからさっさと行く！」

『………あのー、』

「なに？まだ何か心配事？」

『そうじゃなくて、葵の、部屋で、寝てもいいですか』

「いいに決まってんじゃん。しょうがないから添い寝してあげるよ」

添い寝をしてあげる、と意気込んでいた割に疲れていたのか葵が先に寝てしまった。

でも、その周期的な寝息を聞いていたら次第に眠気に包まれ、睡眠剤を使わずともすぐに眠りに落ちた。

多分、覚えていないけれど幸せな夢を見ていたと思う。