10人目の居場所は、ここに。ー４ー (ページ23)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:95,071 hit

・ページ23

Miyadate side

・

アクロバットが得意な照や佐久間に負けないぐらい華があるのがうただ。

大概の技は簡単に出来ちゃうし、背が高い方が見栄えがいいかもと佐久間が言い出した頃からうたを飛ばす機会も増えてきた。

そんな中での大舞台、もらった時間の中で最大限俺らの良さを活かすアクロバットが組まれている。

深澤「ほんとにやるの？」

『申し訳ないんですけど、明日、来られなくなったので、』

岩本「途中で帰るんじゃなくて？」

『……うん、まるっきり、来られないです』

照が責めるような口調になってしまったのも無理はない。

今日のリハの残り時間が30分ほどになったところでうたが戻って来た。

どうやら病院に一旦行って来たらしく、さっきよりは顔色も良くなっている。

けど、ドラマの予定が前倒しになったみたいで、明日の最後のリハには出られないとか。

ただでさえ他のメンバーより来られる時間が少なかったのに最終日まで、と彼を責めることはお門違いなのは分かっているけどメンバーの空気は一瞬だけピリっとなった。

『本当に、ごめんなさい。先にこっちの予定が入ってるからって言ったんですけど、放送予定日が前倒しになるみたいで、どうしても、急がなきゃならないみたいで』

深澤「じゃあ、今日やったらあと本番しか残ってないって感じだね」

リハ室の隅っこで様子を見守るうたのマネージャーさんもうたと同じぐらい、それ以上に恐縮した様子。

でも今回の話は断れなかったんだろうな。

ドラマ自体が事務所の意向で決まったらしく、その話を聞いて数分だけはうたも憂鬱そうな顔をしていた。勿論プロだからその話は二度としなかったし、そんな素振りも見せないけれど。

渡辺「Aさ、こっちの仕事とドラマの仕事、どっちが大事なの」

宮舘「翔太、その言い方は、」

『絶対に Snow Man です。それは、ずっと変わらず』

渡辺「だったらいいじゃん、そんな萎縮するなって。ちゃんとここに帰って来るんだろ？」

『…うん、絶対』

渡辺「あーもう、腹減ったから最後通して帰ろうぜ」

ラウ「翔太くん！」

渡辺「ん？」

ラウ「ラーメン食べに行かない？」

渡辺「しょうがねぇな」

ラウ「やったね！」

これが、翔太なりの彼の守り方。二人がまだぎくしゃくしていた頃のことを思い出して一瞬だけヒヤリとしたけどね。