10人目の居場所は、ここに。ー４ー (ページ18)

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Iwamoto side

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阿部「照！！うたどうしたの！？」

岩本「分かんない、多分吐いてたんだろうけど今は全然目も開かないし、意識ないかも」

阿部「手震えてるし汗もかいてるから低血糖だと思う。マネージャ―に行って車持ってきてもらうわ。あとラムネとか、持ってくる！」

岩本「助かるわ。取り敢えず下まで運ぶわ」

ペチペチと頬を叩いても、床にぐったりと座り込んだうたはほぼ反応を見せない。

阿部の言っていた通り両手は小刻みに震えるばかりで熱を持った体に対して指は極端に冷たい。

なんとかして背中に乗せたものの、うたの体に全く力が入っていないせいでずり落ちそうになるばかり。

その後合流してくれたふっかと一緒に駐車場まで運び、そこからはマネージャーに任せた。

猛ダッシュで来た阿部は糖分の多そうなお菓子と飲み物をマネージャーに渡して名残惜しそうにメンバーの元に帰る。

今忙しい時期だし、1人抜けたからと言ってリハを中断するわけにもいかず、心配そうな顔をするメンバーを奮い立たせて続きを始めた。

リハが終わって帰り支度をしていた頃、突然うたから一本の電話が入った。

電話の向こうの彼は数秒の沈黙の後、「あれぇ聞こえてる？」と間の抜けた声を上げる。

「聞こえてるよ」

『あ、いわもとくん』

「もう大丈夫になった？」

『お陰様で、今日は取り敢えず入院になったけど』

「マジ？」

『なんか、うん、らしいです』

深澤「あー！！！うたじゃん！！！なに照ばっかズルいんだけど！？」

向井「Aくんー！！！大丈夫なん？心配したで？うたくんおらんと寂しいわぁ」

『ごめんねー！明日はちゃんと行くので許してー！』

阿部「明日来れるの？」

『うん、多分、さっき頼んだから多分大丈夫』

渡辺「阿部とかさ、うたが無理ばっかするってさっきまでめちゃめちゃ怒ってたんだよ」

阿部「言わないでよそれ！！」

『阿部くん、僕、元気だよ』

阿部「酸素マスクまで付けられてる人が元気とは言えません」

『なんかね、派手に風邪引いた』

心配をかけたくないからか、アハハと軽快に笑ううたの姿をスマホ越しに見ているのが辛かった。

うたがもう無理って爆発するときなんてほぼ無いし、あったとしても激務でその声はかき消されてしまうだけだけど。

なんとなく会いたくなって、面会時間はもう過ぎているのに病院へ車で向かった。