1-1. 永絆の章 ページ8
「ふう……ここまで来ればもう大丈夫」
ゴーグルはヘッドホンを地面に下ろす。
そして、ヘッドホンはその壮観に圧倒された。
──ここはラピスヴェルヴンの本拠地・ロビーである。
閉鎖的だが、最先端の科学技術による施設や機械が彼女の視界を埋めつくした。
だがそれよりも彼女の目を奪ったのは【大量の色彩豊かなインクが入っているクリスタルのタンク】だった。
「さ、まずは治療室に行こう!
……もしかしてこのタンクが気になる?」
「あ、いや、そうじゃないの。ただ……人生でこんなの初めて見た、すごいなあって思って……」
「あとでたくさん教えてあげるね!」
「──おいゴーグル、また一人で奇襲したのか!!」
突然、ロビー中に響き渡る大きな怒号がゴーグルを突き刺した。
ゴーグルは肩をすくめ、恐る恐るその声のする方を見る。
「ら、ライダー! 今日は来てないかと……」
「お前ってヤツは! 司令から勝手に行くなとあれほど言われていただろ!」
「オレは大丈夫だからいーの!」
「よくないっ!!」
「……」呆気に取られるヘッドホン。
二人がわーぎゃー喧嘩をしていると、後ろから何者かがヘッドホンの肩を優しく叩いた。
振り返ると──そこには四人のヒトがいた。
「見ない顔だね。オレはグローブ。キミは?」
グローブと名乗る少年は、爽やかな笑みをたたえた。
新緑のゲソは丁寧にセットされていて、同色の目はクールに輝いている。
「ワタシはヘッドホン。ゴーグルくんに助けられて、ここに連れてこられたの」
「かわいいー! ワタシクリップ。治療なら任せて〜」
「よろしく、ストラップでーす」
「ブロウだ。よろしく」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
グローブは喧嘩をしているゴーグルとライダーを横目に、ヘッドホンを先に治療室に連れて行く事にした。
「それにしても、ゴーグルに助けられたんだね、クールじゃないか!」
「うん。……ワ、ワタシの命の恩人なんだ」
彼はヘッドホンの視線がさっきから泳いでいることに気付いていた。が、今はあえてそれには言及せずに治療を優先する事にした。
ヘッドホンの腕に包帯を巻き終えると、彼女は眠りについた。すると、グローブは装着していたエンペラフックから通知を受け取る。
どうやら第一次崩壊のハイカラスクエアへの被害が拡大しているようだ。既にインクリングが出動しているが、人手が足りなくなっているらしい。
「──みんな、クールにいくよ」
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もだま(プロフ) - 更新待ってました。今回も文章が上手でストーリーや世界観にぐんぐん惹き込まれました。キャラクター一人一人の感情表現も素晴らしく、話に没頭してしまいました。今回も続きが気になる終わり方でとても面白かったです。これからも無理せずに更新頑張ってください。 (12月22日 23時) (レス) id: 762cea6966 (このIDを非表示/違反報告)
コロ○ - お久しぶりです!上手く言えないのですが、文に、物語に引き込まれます。素敵です。テンションが違いますがコロ○です。展開が気になります。ゆっくりでも良いので更新頑張ってください! (11月2日 22時) (レス) @page43 id: c20130040f (このIDを非表示/違反報告)
時城はるね(プロフ) - 初めまして。この作品、とても細かい設定まであって読みやすいです。絵もとても素敵です。この作品、最高です。これからも無理せずに頑張ってください! (10月17日 22時) (レス) @page37 id: 8e86fe11f1 (このIDを非表示/違反報告)
コロ○ - お久しぶりですコロ○です。受験生の妹に紹介したら、休憩の時にちょくちょく見てるっぽいです。兄妹ファン…憧れだったんですよ。あと絵本当にお上手ですね!すごいです。俺これからモチベ上げる隊になろうかな。続きが楽しみです!頑張ってください! (9月26日 2時) (レス) id: 01a934e3d5 (このIDを非表示/違反報告)
am - こんにちは初めまして。この作品の設定や世界観が凄くてつい惹き込まれてしまいました。次はどんな展開になるかと楽しみです。あとイラストのグローブ君カッコ良くてその他も見てみたいです (9月18日 19時) (レス) @page35 id: c6b1ac05e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるやん | 作成日時:2023年5月31日 20時