0-0. プロローグ ページ7
「ついにその時が来た、第一次崩壊の時が……!」
逃げ惑う住民達が次々に同じ言葉を叫ぶ。
ここはイカ界でも流行の最先端の地、ハイカラスクエア。だからこそ、不運な事に、歴史上初の【崩壊】に選ばれてしまった。
崩壊──それは進みすぎた文明に与えられる神からの【滅び】の天罰であると、研究者らはそう考えている。
「ぎゃあーーっ、モンスターだ! 助けてくれえぇぇっ」
「ママどこっ、ママーー! 痛いよぉーーーーっ!!」
普段はたくさんの人の談笑で溢れるスクエアも、今は民衆の恐怖の叫び声が満たす恐ろしい空間と化してしまっている。
やがて、異空間から【崩壊獣】が現れた。それは崩壊の使者で、彼らの文明を破壊していくモンスターだ。
無差別に市民は攻撃されていく。
【崩壊エネルギー】の汚染を受けたヒトは【ゾンビ】へとその姿を変え、そして純粋なヒトを襲う。
「はぁっ、はあっ、はっ、……っ!」
とあるヒトが崩壊獣に目を付けられている。彼女は必死に逃げるが、足を木の枝に引っ掛け、転んでしまった。
彼女の影をまるまる飲み込むように、巨大な崩壊獣は彼女に覆いかぶさった。
「いや、た、助けて……ッ!」
【崩壊エネルギー】の汚染が始まっているのか、彼女の右腕は異常に白く無機質に見え、赤く細長い筋が通っていた。
崩壊獣はここまでだと言わんばかりに彼女に手を振りかざした──が、崩壊獣の欲望は叶わなかった。
「大丈夫!?」
青のヒーロー。
──対崩壊組織・ラピスヴェルヴンの期待の新星。
そして、【この世界を誰よりも愛する者】。
崩壊獣は既に粉々に死んだ。
その死体はコバルトブルーのインクに染まっている。
「あ……あなたは、」
「オレはゴーグル! キミは?」
「わ、ワタシはヘッドホン……」
「ヘッドホンちゃん! その右腕……危険だから、すぐにラピスヴェルヴンの本拠地に連れて行ってあげるね!」
ゴーグルはヘッドホンの無事な方の腕を引っ張り、立ち上がるのを支えたのちにおんぶした。
すると──ゴーグルは地面に散らばっているコバルトブルーのインクを潜りながら高速移動を始めたのだ。
「わ、っ……!?」
「あっ、びっくりした? これは【センプク】。こうやってインクで道を塗っておくと素早く移動できるんだ!」
「……あ、あなたはいったい」
ゴーグルは泳ぎながら、ただこう答えた。
「──オレは、【インクリング】!」
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もだま(プロフ) - 更新待ってました。今回も文章が上手でストーリーや世界観にぐんぐん惹き込まれました。キャラクター一人一人の感情表現も素晴らしく、話に没頭してしまいました。今回も続きが気になる終わり方でとても面白かったです。これからも無理せずに更新頑張ってください。 (12月22日 23時) (レス) id: 762cea6966 (このIDを非表示/違反報告)
コロ○ - お久しぶりです!上手く言えないのですが、文に、物語に引き込まれます。素敵です。テンションが違いますがコロ○です。展開が気になります。ゆっくりでも良いので更新頑張ってください! (11月2日 22時) (レス) @page43 id: c20130040f (このIDを非表示/違反報告)
時城はるね(プロフ) - 初めまして。この作品、とても細かい設定まであって読みやすいです。絵もとても素敵です。この作品、最高です。これからも無理せずに頑張ってください! (10月17日 22時) (レス) @page37 id: 8e86fe11f1 (このIDを非表示/違反報告)
コロ○ - お久しぶりですコロ○です。受験生の妹に紹介したら、休憩の時にちょくちょく見てるっぽいです。兄妹ファン…憧れだったんですよ。あと絵本当にお上手ですね!すごいです。俺これからモチベ上げる隊になろうかな。続きが楽しみです!頑張ってください! (9月26日 2時) (レス) id: 01a934e3d5 (このIDを非表示/違反報告)
am - こんにちは初めまして。この作品の設定や世界観が凄くてつい惹き込まれてしまいました。次はどんな展開になるかと楽しみです。あとイラストのグローブ君カッコ良くてその他も見てみたいです (9月18日 19時) (レス) @page35 id: c6b1ac05e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるやん | 作成日時:2023年5月31日 20時