X-X. 終焉 ページ6
終焉の時が訪れようとしている。
残されたインクリング達はみな膝から崩れ落ち、その肉体は強力な【崩壊エネルギー】に汚染されている。
武器は壊れ、バラバラに砕けた無様な状態で地面に散らばっている。
【それ】は今、眠っている。
インクリング達の【最後】の全力の攻撃が、人類を終焉に導く【それ】を数時間の休眠状態まで追いやったのだ。
しかし、──それだけだ。
【それ】は数時間経てば起き上がる。
その瞬間こそが、この文明の終焉の時だ。
インクリングに──人類に、もはや勝ち目は無い。
再起動までの数時間が、彼ら人類の最後のひとときとなった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
時が来た。
【終焉の律者】は再び空を覆う。
ついさっきまで【みんなのヒーロー】だったそれは、今や既に【人類の最大にして最強の敵】である。
インクリング達は【終焉の律者】と目が合い、絶望の色をその目に映す。
そのラピスラズリの目は……何もかもを崩壊に飲み込む。
「人類……滅ぼす、全てを……無に……帰す…………」
ぽつり、ぽつりと【終焉の律者】は言葉を零す。
【終焉の律者】もかつてはインクリングであった。
そしてこの地球を、この世界を、誰よりも深く愛していた。
──だからこそ、【崩壊】にも愛された。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
文明は完全に滅んだ。
今、地球上に生命体はひとつも存在しない。
地球を抱きしめられるほどに大きい【終焉の律者】は、目を薄めて空虚な地球を見つめる。
──彼の役目は、終わった。
あとはもう眠るだけ。
彼にはもうインクリングだった頃の感情は無い。
視覚や聴覚などの五感もほとんど失われてしまった。
……それでも、彼には【記憶】が残っていた。
あたたかい、あの頃の記憶。
晴れぞらの下で草を踏みしめ、陽だまりの下で仲間と笑いあい、眩しい光をさんさんと浴びたあの頃。
眠る前に……と、彼はひとつひとつその記憶を思い出す事にした。
全てを、【戻してしまう】前に。
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もだま(プロフ) - 更新待ってました。今回も文章が上手でストーリーや世界観にぐんぐん惹き込まれました。キャラクター一人一人の感情表現も素晴らしく、話に没頭してしまいました。今回も続きが気になる終わり方でとても面白かったです。これからも無理せずに更新頑張ってください。 (12月22日 23時) (レス) id: 762cea6966 (このIDを非表示/違反報告)
コロ○ - お久しぶりです!上手く言えないのですが、文に、物語に引き込まれます。素敵です。テンションが違いますがコロ○です。展開が気になります。ゆっくりでも良いので更新頑張ってください! (11月2日 22時) (レス) @page43 id: c20130040f (このIDを非表示/違反報告)
時城はるね(プロフ) - 初めまして。この作品、とても細かい設定まであって読みやすいです。絵もとても素敵です。この作品、最高です。これからも無理せずに頑張ってください! (10月17日 22時) (レス) @page37 id: 8e86fe11f1 (このIDを非表示/違反報告)
コロ○ - お久しぶりですコロ○です。受験生の妹に紹介したら、休憩の時にちょくちょく見てるっぽいです。兄妹ファン…憧れだったんですよ。あと絵本当にお上手ですね!すごいです。俺これからモチベ上げる隊になろうかな。続きが楽しみです!頑張ってください! (9月26日 2時) (レス) id: 01a934e3d5 (このIDを非表示/違反報告)
am - こんにちは初めまして。この作品の設定や世界観が凄くてつい惹き込まれてしまいました。次はどんな展開になるかと楽しみです。あとイラストのグローブ君カッコ良くてその他も見てみたいです (9月18日 19時) (レス) @page35 id: c6b1ac05e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるやん | 作成日時:2023年5月31日 20時