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(あいつの【権能】は……)
ぼんやりと言葉が浮かんでくる。
いいや、思い出されると言った方が正しかった。
まるで旧友の名前を思い出す時のような、胸に熱いものが込み上げてくる感覚だった。
そして、彼が導き出したその権能。
それは──【透雨】である。
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黄金の皇帝、という二つ名を持つインクリングがいる。
かの者は太陽より眩いゲソ、そして炎の瞳を持つ。
その名は──エンペラー。
S4の遥か上をゆく、【覇者】と並ぶ【皇帝】だ。
エンペラーチームは精鋭揃いの連携の取れたチームで、そのあまりの強さから重要視され、出撃を要請されるのは有事の際だけだ。
しかし、それでも第一次崩壊の時は見くびっていたラピスヴェルヴンによって出撃を見送られた。
だが、今回は違う。
第二次崩壊は数々の街を蝕んでいる。
雨は強く吹き荒れ、たくさんの命を刈り取っている。
彼らは雨に触れると何かしらの悪影響を及ぼすことは街の状況を見て察していたので、特殊な素材でできている(恐らくアンクルを固形化させたものだろう)レインコートを着ている。
さて、エンペラーチームは雨の律者の前に立ちはだかった。
その黄金の輝きは曇り空に負けじと燦々、光を放っている。
「……汚いヒトめ」
「フン。律者など塵にしてくれる」
こうして、戦いの幕は上がった。
「ワタシは背後へ行く。プリンツ、中衛を頼んだ」
「わかりました……!」
「じゃっ、エンペラー……さっさとやっちゃいな」
「言われなくとも──!」
エンペラーチームの猛攻が始まる。
リーダーの皇帝はすぐに無駄のない、洗練された優雅だが素早い動きで律者に迫った。
律者は目覚めたばかり。
だが……もう既に成長は始まっている。
律者の冷たい手が皇帝の二丁拳銃──スプラマニューバーコラボの片割れを振り払った。
「なっ……!」
「汚い、汚い汚い汚い、穢らわしい……全て消してやる!」
疾さが持ち味のエギングJrは地面に落ちたスプラマニューバーコラボをエンペラーに投げて渡した──が、それはまるで【珊瑚が白化】するかの如く、純白に染っていた。
「一体……これは」
「真の清潔さが愚かなお前らにとっての汚さなら……汚してやる!」
「フン、王は一つでも十分だ」
王者は律者と対峙するのは初めてだった。
微かな焦りが、エンペラーを絶望へと突き落とす。
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もだま(プロフ) - 更新待ってました。今回も文章が上手でストーリーや世界観にぐんぐん惹き込まれました。キャラクター一人一人の感情表現も素晴らしく、話に没頭してしまいました。今回も続きが気になる終わり方でとても面白かったです。これからも無理せずに更新頑張ってください。 (12月22日 23時) (レス) id: 762cea6966 (このIDを非表示/違反報告)
コロ○ - お久しぶりです!上手く言えないのですが、文に、物語に引き込まれます。素敵です。テンションが違いますがコロ○です。展開が気になります。ゆっくりでも良いので更新頑張ってください! (11月2日 22時) (レス) @page43 id: c20130040f (このIDを非表示/違反報告)
時城はるね(プロフ) - 初めまして。この作品、とても細かい設定まであって読みやすいです。絵もとても素敵です。この作品、最高です。これからも無理せずに頑張ってください! (10月17日 22時) (レス) @page37 id: 8e86fe11f1 (このIDを非表示/違反報告)
コロ○ - お久しぶりですコロ○です。受験生の妹に紹介したら、休憩の時にちょくちょく見てるっぽいです。兄妹ファン…憧れだったんですよ。あと絵本当にお上手ですね!すごいです。俺これからモチベ上げる隊になろうかな。続きが楽しみです!頑張ってください! (9月26日 2時) (レス) id: 01a934e3d5 (このIDを非表示/違反報告)
am - こんにちは初めまして。この作品の設定や世界観が凄くてつい惹き込まれてしまいました。次はどんな展開になるかと楽しみです。あとイラストのグローブ君カッコ良くてその他も見てみたいです (9月18日 19時) (レス) @page35 id: c6b1ac05e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるやん | 作成日時:2023年5月31日 20時