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9話・翠 ページ12

泣くだけ泣いたから、もう大丈夫。
しっかりしろよ、私。
「藍くんのお腹のことは出前とやらに任せるとして、あの二人、大丈夫なのかな」
「どーゆーこと?」
斗羽くんが何のことか分からないといった風に返事をした時,タイミング良く藍くんのスマホに着信がきた。
「武器忘れたから持って来て,だって」
と、藍くんが文面を簡単に読み上げた。
「そういうことだよ。」
「あぁ、そういう。で、誰が持って行くの?」
「お前だろ」
「君だろう?」
「なんで俺?」
「飛べるから」
「能力的に君だろ。」

とりあえず斗羽くんに二人の武器を持って行くのと二人の応援を頼んだ。
「あの二人頭いいし帰ってきてるんじゃねえの?」
「それでもだろ」
文句を言う斗羽くんを藍くんが諌める。
「帰ってきてる道中,犯人に出くわしたらどうするんだい」
二人まで怪我させられるなんて最悪の事態は避けたい。
「とにかく、早く行ってこい」

武器が見られるとまずいのでかばんにつめて持っていかせる。
「……じゃあ行ってくるわ」
「いってら。腹減ったし早く帰ってこいよ。」
斗羽くんが扉を開こうとした時に,マスターが声をかけた。
「無事に,帰ってきなさい」
「分かってます」
そして扉を開けて、外にでた。
扉が閉まる直前,彼が小さく呟いた。
「真朱のこと,任せたからな」

「おう!行ってこい!」
「任された。」
「行ってらっしゃい。」
扉が閉まった。


「さて。あの3人が帰ってくるまでに出前とやらは来るのかなぁ」
「腹へったよ」
藍くんがお腹を押さえて言った。ふっきれたのかな。
「きっと来るわ。」
と、マスターが言った。すこし元気を取り戻せたようで。

今私達にできることは、真朱の無事を祈ることと、3人が帰ってくるのを待つことだけだ。

コンコンと、扉をノックする小さな音が響いた。
「お、ナイスタイミングじゃん」
藍くんが扉を開けに行ったのを、私は後ろで見ていた。
…悪い予感がする。
突然、カフェの外の花壇に咲いているパンジーの声が、頭に響いた。

『開けちゃだめだ』

――まさか。

「藍くん!待って!」

私は咄嗟に彼の腕を引いて、扉を開けるのを止めようとした。
…が、時既に遅しというやつだ。
無情にも、扉は開いてしまった。
その向こうにいたのは、目深にフードを被った、誰かだった。

「……嘘だろ」

前言撤回。

私達に出来ることは、待つことでも、祈る事でもなかった。

憎き犯人を、撃退することだった。

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作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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月見ノ(プロフ) - Gingerさん» わざわざありがとうこざいます、メンバーは6人になる予定です!これからもよろしくおねがいします! (2017年7月6日 22時) (レス) id: 27b064b5c3 (このIDを非表示/違反報告)
Ginger - Incredibile!Divertente!(凄い!面白い!ってことです) (2017年7月6日 15時) (レス) id: bc44d2c5f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:よっけおる x他2人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/  
作成日時:2017年7月3日 21時

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