６．時限式 ページ7
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さて。恵への報告もついでながら達成した。
もうここにいる理由はない、ということで。
『じゃあ私、帰ります。
恵、プレゼントありがとう』
「ああ」
「あらら、僕に用があったんじゃないの？」
『ないです。
任務帰りならちゃんと休んでください』
「うん。まあ、そうするけどさ。
あれ、まだウチにあるでしょ？ 婚姻届。」
婚姻届。婚姻届。
エコーがかかったように反響した。気がする。
知ってた。この人は空気を読まない、って。
「……は？」
すごい。
今までになくドスの効いた“は？”だった。
さすが恵。
けれど相手が相手なので
残念ながらブレーキには期待できない。
はっきり言わなきゃ伝わらないらしい、というのは
お互いよく理解していた。
「ちゃんと持ってきてよ〜？
返事楽しみにしてるんだから」
いざ、腹を括る。
『そのことは、卒業するまで待っててください。
まだ、決められないので』
沈黙。
昼間なのにまるで夜のように張り詰めた空気。
こういうとき、目隠し姿はちょっと怖い。
どんな表情をしてるのか、正確にはわからないから。
第2関門。
引き金を引いた後は、反応に期待するしかない。
「卒業まで、か。なかなか長いねぇ」
『……』
場の沈黙もまた、長かった。
「──うん。わかった。
Aの答えが出るまで待つよ」
『本当、ですか？』
「本当。…だから、ほら。
そんな顔しないの」
ぽん、と大きな手のひらが頭の上に置かれる。
これがまた温かくて。
自分がその時、どんな顔をしていたのかは
わからないけど。
たまに聞ける、本当に優しい声でそう言われて
とにかくほっとしたのは確かだった。
『……じゃあ、帰ります』
「うん、そっか。気をつけるんだよ」
いつものように手を振ってくれる五条さんに
少しだけ迷って、小さく振り返す。
そうして駆け足でその場を後にした。
◇ ◆ ◇
「……逃げられちゃった」
「いや、意味わかんないんですけど。
五条先生、あいつとそういう関係だったんですか」
「え、違うよ？」
「は？」
恵はますますわからない、という顔をして。
五条はくるりと背を向け歩き出す。
「Aはさ、
もったいないくらい可愛く育っちゃったんだよね」
見間違いではない。
去り際、微かに頬を紅く染めていた。
「まあ、あえて言うなら婚約者かなぁ」
「……適当言ってませんよね」
とはいえ、その程度で期待するのも
馬鹿らしいけれど。
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Sn(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます。五条悟オチです。長めのお話になる予定なので、頑張って完結させたいと思います。 (2021年8月26日 22時) (
レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか？できれば五条悟オチでお願い出来ますか？続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年8月25日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - Spicaさん» ありがとうございます。励みになります。 (2021年8月25日 14時) (レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
Spica(プロフ) - とても面白いです！続き期待してます！ (2021年8月25日 14時) (レス) id: 68c958f74e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Sn | 作成日時：2021年7月24日 16時
