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36.不機嫌 ページ39

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あの任務から、数日。




「もう報告は聞いたよ、三人とも」


椅子にどっかりと腰掛けて、長い手足を組む五条。
その前には複雑な表情をした一年生が三人。


「ええ、俺らは全て話しました。……でも」

「あれから何にも連絡ないじゃん。なんで?」

「せめて漆葉がどうなったかくらい教えなさいよ」


あの後。
一年生三人は皆、高専で治療を受けた……が、
肝心の漆葉だけがずっと帰ってこなかった。

なんでも五条があのまま、
彼女をどこかへ連れて行ってしまったらしく。


「だーからさ。言えないから黙ってんの。
 逆に聞くけど、
 もしAが死んだって聞いたらどうすんの?」

「……そんな縁起でもないこと、」

「でも一番可能性高いでしょ?
 あれ、見るからに致命傷だったし」

「っ、アンタこそ言い方ってものが──」

「いいかげんにしてください」


ダン、と恵が目の前の机を叩く。


「先生、アンタ最近おかしいですよ。
 何に神経尖らせてるんですか」

「えー。ひどいこと言うじゃん、恵。
 僕は至って正常だよ」

「はぁ。…わかりました」


深いため息一つ。

恵は、微妙な不機嫌を貫き通す五条を
氷のような視線で見下ろした。


「……上層部ですか。アンタが嫌いな」


瞬間、ピリっと空気が張り詰める。

真偽は言わずもがな。
けれど、引かない。


「あの白い少女ですか」

「白? …あぁ、あの子ね」

「あれだけの呪力量となれば
 当然、上は放っておきませんよね。
 未知の実体ともなれば、なおさらでしょう」

「……」

「五条先生。
 俺たちはどうしてここにいると思いますか」

「Aの情報知りたいんでしょ?」

「そうですけど…そうじゃありません。
 ただ純粋にAを心配して
 話をしに来ただけです」

「そうよ。私らが上と繋がってるかも〜なんて心配、
 するだけ無駄ってわかんないのかしら」

「そこは俺、一回殺されてるしなぁ。
 仲良くできる気しねぇわ」

「…そういうことです。
 とにかく、俺ら三人はAの味方なので」


ドン、と擬音がつきそうなくらい
堂々と宣言する三人組。


五条は呆気にとられて、しばらくポカンとしていた。
……が、ニヤッと面白そうに笑って。


「生意気だねぇ」

「怒りましたか」

「まさか。むしろ大歓迎〜」


緊迫した空気を霧散させて
五条は一転、上機嫌に言った。


「いいよ。教えてあげる。
 ついでに昔話もしようか」


6年前、Aと出会った時の話を。



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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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Sn(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます。五条悟オチです。長めのお話になる予定なので、頑張って完結させたいと思います。 (2021年8月26日 22時) (レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年8月25日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
Sn(プロフ) - Spicaさん» ありがとうございます。励みになります。 (2021年8月25日 14時) (レス) id: 812f073419 (このIDを非表示/違反報告)
Spica(プロフ) - とても面白いです!続き期待してます! (2021年8月25日 14時) (レス) id: 68c958f74e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Sn | 作成日時:2021年7月24日 16時

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