Dear My everything〜Donghae〜Last Edition

09 ページ10

*



約1時間のフライト。
ふと、気がつくと、シートベルトの着装を促すサインの音がして
飛行機は高度を下げて降下し始めた。


「もしかして……」

「うん、そのもしかして、かな」


窓から視線を外に向けると、久しぶりに見る美しい島。


そこは、何度も訪れた私が大好きな場所、済州。


「懐かしい……ﾄﾞﾝﾍ、ありがとう」

「いえいえ、どういたしまして。新婚旅行の代わり？
まあそれにしちゃちょっと短いけどね」

「ううん、十分だよ！嬉しいよ！」


結婚式の時も、ﾄﾞﾝﾍの仕事も忙しかったし妊娠初期だったこともあって
新婚旅行に行けなかったから。

新婚旅行は済州に来るのが夢だった。


そのことをﾄﾞﾝﾍに話すのは、行けなかったことを責めているように
思われないかと言えずにいたのに


それを察してなのか、それともたまたまなのか。


どちらにしても、この場所を選んでくれたﾄﾞﾝﾍの優しさに胸がいっぱいになる。



どんどん近づいてくるその美しい島を目に焼き付けるように見つめる。



着陸すると、またそこには真っ白いリムジンが待っていて
仁川と同じように、ﾄﾞﾝﾍにエスコートされて乗り込む。



もう、何も聞かない。
ただ、ﾄﾞﾝﾍが用意してくれたプレゼントを受け取ろう。そう思った。


「ﾄﾞﾝﾍ…ありがとう。
ごめんね？今日はﾄﾞﾝﾍのセンイルなのに私の方がプレゼントもらっちゃって」

「何言ってるの？俺のセンイルには結婚記念日っていう素敵なプレゼントを
毎年貰ってるよ」


そう言って私の指を絡め取って、口元に持っていく。


ちゅ、ちゅ、と小さいキスを私の指一本一本に落として。
瞳を縁取る長い睫毛が、まるでスローモーションみたいに瞬きをするのを
ただ、バカみたいに見惚れて。


「ん？」

「ぇ、ぁあ、えと…ホテルはどこ？」

「なに、真っ赤だけど？」


私の手を握っていないもう一方の手のひらがそっと頬を掠めて顎で止まる。


「すぐ、ベッド行こうか」


そんな風に耳元で囁かれて、平静でいられるわけはなくて。


「バ、バカ！」


ﾄﾞﾝﾍの両手を振りほどいて窓にへばりつく。


「あは、ひどいな」


クスクス笑ってるけど…
絶対面白がってるでしょ！！


そのあと、大好きなはずの済州の景色も全然目には入ってこなかった。




*

10〜DH〜→←08

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す