14〜DH〜 ページ15
*
「しかし…ゴルフっていうのは少し嘘っぽくなかったかな?」
「ですかね?」
「今までゴルフは?」
「……恥ずかしながら(笑)何度か誘われたりもしたんですけどね」
俺ももう35。
普通の大人ならとっくに嗜んでるだろうそういう遊びも
忙しさを理由に今まで無縁だった。
でも別にだからって他の同年代を羨ましいと思ったこともない。
それよりもっと、俺はかけがえのないものをたくさん持ってると自負しているから。
グループで活動することは前よりずっと少なくなったけど
それでも世界中のあちこちで俺たちを待っていてくれるエルフ達は
まだまだたくさんいて。
愛する家族や仲間、エルフ達に囲まれてそれなりに幸せな人生を送ってる。
「で?これから3時間、どうやって暇を潰すつもり?」
「実はちょっと、考えてることがあって予約してるとこがあるんですよ」
「君も予約?」
「ええ。ちょっと行ってきます」
*
*
「うわ、思ったより時間かかっちゃったな…」
Aを待たせてるサロンまで急いだ。
「すみません、妻は……」
「奥様なら先ほどからもうお待ちですよ」
「すみません。遅くなって…」
「いえ、どうぞ。あ、ご主人様」
こう呼ばれるのも、もう随分慣れた。
最初の頃は慣れなくていちいちニヤニヤしてキモいってマンネ達に言われたっけ。
「奥様、とっても素敵に仕上がってますよ」
「当然です。僕の妻ですから」
こんなクサイ台詞も、聞かれたらまたキモいって言われるだろうな。
「あら、ごちそうさまです(笑)
そのお言葉、奥様に直接おっしゃってくださいね。本当に素敵ですから」
ユイヌナに協力してもらって選んだドレス。
年相応で、それでいて若々しく見えて、上品なAの魅力を
めいいっぱい引き立ててくれるシンプルなドレスをっていう
俺のリクエストにグチグチいいながらも用意してくれた幾つかのドレスは
どれも素敵で選ぶのに随分時間がかかったけど。
きっとあのドレスなら……
俺はポケットの中の小さい箱をぎゅっと握りしめた。
スタッフの方に案内された部屋の前に、タキシードに身を包んで立つ。
ピカピカのドアに自分を映してネクタイを確認する。
緊張でドキドキする。
こんなに胸が高鳴るのは何年ぶりだろう。
小さくノックすると中から聞こえた愛しい妻の声。
俺は少しだけ震える手でドアを開いた。
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ひまわり(プロフ) - 一気に読ませてもらいました!心が温まりました!私もお話を書き始めたばかり。こんなステキな話を書けたらいいな♪ (2014年12月30日 15時) (レス) id: 595a038cb0 (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - ようこさん» ようこさん、コメントありがとうございます!コメントが届いても通知が来なくなってしまって気づくのが遅くてすいません。そう言ってもらえてうれしいです(≧∇≦) (2014年9月2日 6時) (レス) id: c51219206a (このIDを非表示/違反報告)
ようこ(プロフ) - どれもこれも楽しくわくわくしながら読ませていただきました。 (2014年7月30日 16時) (レス) id: 12ac2e3c23 (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - pukapuka_mickyさん» きゃー、もしかしてえ○こちゃん?だよね?コメントありがとう〜\(^o^)/そう言ってもらえて嬉しい!うんうん、生まれ変わってドンヘみたいな人と巡り会いたい!! (2014年5月18日 10時) (レス) id: 2dade049d6 (このIDを非表示/違反報告)
pukapuka_micky(プロフ) - 素敵なお話ありがとう♪とっても幸せな気持ちになったよ。生まれ変わったらこんな素敵な旦那さまと巡り会えるかな。。 (2014年5月17日 21時) (レス) id: 9877638046 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくらこ | 作者ホームページ:http://id41.fm-p.jp/390/cherryhae15/
作成日時:2014年2月10日 21時